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義理チョコは前日に配り終えバレンタイン当日を迎えた。
「ハニー。準備、出来たぞ」
二人で食事と酒と会話を楽しむ。
「ハニー。これはオレから。愛を込めて、お前に……」
チョコレートとプレゼントと花束を渡した。
「うわぁ、ありがとう! 嬉しい! あ、僕からも。どうぞ、貰って。すぅ、愛してるよ」
彼女からチョコレートを貰う。
「食べる? 食べさせてあげる。はい。あーん」
彼女が食べさせてくれた。丞一郎が認めるだけあって旨かった。
「うん、旨い! ほら、ハニーも食べてみな。あーん」
「おいひぃー!」
彼女が笑顔になる。良い笑顔だ。それだけでも十分なんだけど……。
「なぁ? プレゼントはいつくれんの?」
『え?』と彼女が真っ赤になる。可愛い。
「楽しみにしてるんだけど? でも──。とりあえず先にお風呂入るか」
「うん。汗、流したい。今日、暑すぎ……」
「東京、二十三度あるらしいからな」
「えー。もうそんな? まいるなあ」
「でも、予報じゃ明日からは十一度とかそんなもんだっていうから、身体、気を付けろよ?」
「気温差すごいんだね。気を付ける」
「よし、お風呂行こう」
風呂でイチャイチャした後、恥ずかしがりながらも彼女はリボンを着てくれた。
俯きがちに耳まで真っ赤になりつつ、ぽそっと言った。
「プ、プレゼントです……」
「ありがとう。オレだけのプレゼント?」
「うん。Just for you ですよ。すぅだけのための、プレゼントです。……って言うほどのものでも、ないんですけどぉ」
「ふふ。オレだけ、か。良かった。言うほどのものだよ。サイコーのプレゼントじゃねーか」
可愛くてぎゅっと抱きしめ口づける。繰り返し口づけて、思う。
(やべーな。これは、離せなくなりそうだ。でも、今日は休みだし時間もある。それでも良いか……)
「本当に、サイコーに良いもの貰った。うんと大事に、ありがたくいただくとするよ」
そう告げてバレンタインに、オレだけのサイコーのプレゼントを心行くまで堪能した──。
──Just for you.──
End.
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