──鬼は外~。──
早いもので今日は、もう二月の節分。
「ねえ、すぅ。今夜、恵方巻作って~」
「うん? いいよ。中身は何が良い?」
「えっとね~、普通のやつが良いなあ。変わったのじゃなくぅ」
「じゃあ、海鮮のか。お前の好きな海老入れて」
「うんうん。あと、赤いぷちぷち~」
「ああ、とびっこ?」
「そうそう。あれ好き。あと、玉子もね」
「おう、了解しました。お姫様。今日は残業もしなくて済みそうだし。帰り買い物して来ような。良いか? あいつらにつかまらないように、終わったらそっこーで逃げるぞ。分かったな?」
「はーい!」
● ○ ● ○
終業時間になり、二人して速攻で警視庁を後にした。買い物に寄り、彼女の好きそうな具材を吟味しながら買って帰った。帰宅早々、風呂に入ろうというので先に入ってからキッチンで支度を始める。
「隊長、すし飯の合わせ酢の準備出来ました。これで良いでしょうか? 味、見て下さい」
「ん。どれ? そうだなあ、んーなかなか良い味だが──もうひとつ、こうすれば。どうだ?」
「うわー、めっちゃ変わった。さすがです。隊長」
「よし、飯と合わせるか」
「じゃあ、自分がパタパタしまーす」
二人ですし飯を仕上げる。『あとは任せて良いか』と聞くので『休んでろ』と頷くと彼女はキッチンから出て行く。
(珍しいな。疲れたのかな?)
飯と酒の用意をし、お盆に乗せて振り向くとキッチンの戸口に素足の足が色っぽく見えてた。思わず吹き出しそうになる。
「あれー? 何か色っぺーあんよがにょっきり出てんだけど? 何だろう?」
そう言うと今度は裸の腕が出て来て、オレを手招きした。
(ああ? また素肌? どんな格好してんだ? まさか、裸?)
首を捻ってると、ピョッコリ顔を覗かせた。彼女はいたずらっ子みたいな顔してた。頭に角を着けてる。
「何だ? 我が家に鬼っ子が出たか?」
笑いながら言うと彼女が寅柄ビキニのラムちゃんのコスプレ姿でぴょんっと飛び出した。