ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──にくー。── 定時後に皆で書類作成の残業をしていると、彼女がお茶を入れてくれた。「ああ、ありがとう。あーお茶は旨いわねぇ。明智、何かお茶請けないの?」 室長に言われ、冷蔵庫を覗く明智さん。「なんかしょっぱいものがいいわ」「佃煮も、梅干しも、*おこうこもないな。チビ、こないだもらった煎餅はもう無いのか?」「昨日残業の時に、みんなで食べたあれが最後だったんでありません。室長、お腹減ったならなんか買って来ましょうか?」「ありがとう。うーん。でも、寒いしねえ。いいわよ。藤守、如月、もう終わる? そう。なら、がんばんなさい。あ、昴。ちょっとテレビつけて。ニュースが見たいわ」 テレビをつけると、画面に旨そうなローストビーフがアップで映った。彼女が『あっ!』と素早い動きでやって来て見入った。「ローストビーフだぁ! はぁー旨そう」「こら、おチビ! 見えないじゃないのよ。肉、旨そうね。でも何でニュースで?」「ここ、肉フェスって書いてある。何? 肉フェスって」 彼女の問いに、小笠原が答える。 「肉フェスは、二年位前から始まった食イベントで、通算二百七十万人を集める人気のイベントだよ。今、流れてるのは**新宿高島屋が開店二十周年を記念して開催してる肉フェスだね。和から、イタリアン、フレンチ、スペイン、シンガポールなんかの世界の肉料理が並ぶんだって」「世界の肉料理かぁ。きっと旨そうなのがいっぱいなんだろうなー。旨そうな匂いがあっちこっちからするのかな……。ふぁー、夢のような催し物だなぁ。想像しただけでよだれが出そう。いいなぁ」「なんや、お嬢。とろけそうな顔、してるやん」 みんなも寄って来て一緒に、テレビを見る。(そういえば最近ローストビーフは、食卓に出してなかったな。これは連れて行くか……喜びそうだ) そう思い口にする前に、オレより先に室長が口を開いた。「肉フェス、良いわねえ。新宿高島屋か。チビ助、みんなで行きましょうか?」「え? これが、食えるの? ……ねぇ? 昴ぅ。行っちゃダメ?」(オレが誘いたかったんだけど。おねだり顔が可愛いし、まあ良いか)「ふふ。行くか」「きゃー! やったー!」 大喜びする彼女に、如月がふと言った。 「でも、肉フェスって前売り券要るんじゃなかった?」「えー! そんな物が必要? なら今からじゃ無理か……」 万歳しながらぴょんぴょん跳び跳ねて喜んでいたのに、一気にシュンとしおれるように、がっかりと項垂れた。(あっ、あーあ。せっかく嬉しそうだったのに……) 小笠原がパソコンをパチパチ叩き何か調べ『チビ』と呼び掛ける。「これ、入場無料になってるから、大丈夫だよ」「小笠原さん、本当? きゃーやったー! 肉、にくー、ローストビーフ♪ にくー! ルンルン♪」「嬉しそう」*おこうこ(御香香) 東京(関東)では漬物全般を指す言葉です 関西ではたくわん(大根の漬物)を指す言葉です 。関西の一部の地域では大根そのものもこうこと呼ぶそうです ↑Yahoo!知恵袋より。 ちなみに、漬物の別の呼び方で、お新香、香の物と言う場合もあります。**実際に2016年1月4日~11日まで開催のイベント。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。