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──ホットアップルサイダーと記念日。── 八月の後半からすっかり暑さが影を潜め、早くも秋の気配が漂い始めた、九月初旬。 夕食を済ませ、書斎で仕事の書類にざっと目を通し終わり、リビングにやって来ると彼女はキッチンで何やらしてる。「ハニー、何してんの?」 オレの声に振り向く彼女。「ああ。もう終わったの? 今夜も少し肌寒いから今、温かいものでも出そうかと思ったんだけど。ちょっと遅かったね」「そっか、ありがとう。もらってもいい?」「うん、じゃあすぐ持って行く。ソファーで座ってて」 彼女がトレーにカップを乗せて運んで来る。「ん? これ──」「ホットアップルサイダー。作ってみたの。疲労回復や風邪予防に良いらしいし、アメリカじゃ秋冬はこれが欠かせないんでしょう? すぅ、懐かしいんじゃないかと思って」 気使いが嬉しい。「はじめて作ったから、ちゃんと出来たかなあ。ふぅーふぅー あちっ、ふぅーふぅー」 味見をしようとしたみたいだけど、猫舌の彼女にはまだ無理らしい。その姿が可愛くてふっと笑い、飲んでみる。「ん、うまい。ほっとする。うまく出来てるぞ。この味、懐かしい」「ふふ。お気に召したなら、良かったです」「ああ。お気に召しました。ふふ……。又、作ってくれる?」「うん。いつでも喜んでお作りしますよ。旦那さま」 ふんわりと優しく明るい笑顔。目にしたら。 もっと、傍にいたくなる。もっと幸せを感じたい──。「ハニー、こっちおいで。ここ」 膝をポンポンとして彼女を呼び、二人で寄り添う。 話しが出た流れで、以前彼女が録画したNYを紹介する旅番組を、再生する。そうして、秋の夜にゆっくりお茶を楽しむ。すると、彼女がNY時代のエピソードを話してくれとねだった。オレは当時を振り返りながら、話して聞かせる。オレの話しを彼女は実に楽しげに聞いてくれた。「ハニー。その内、NYも行こうな。いろんな所に案内してやるよ。セントラルパークに、行ってみたいんだろ?」「うん。どの季節でも楽しそう。春なら、桜が見たい。夏ならねぇ、ダーリンとセントラルパークの芝生広場、シープ・メドーで、のんびりしたい。今の時季なら紅葉が綺麗なんでしょう? あ、リスが見られるといいなぁ。冬ならスケートリンクあるからダーリンと滑りたい。あとは……セントラルパークの中のお城、ベルヴェデーレ城も見たいな。そこから景色、美しいって話しだし。ダーリンは見た事ある? ふふ。想像しただけでも、すごく楽しそう」「んー楽しそうだな。ボートもあるけど、酔っちゃうか?」「うん、ボートからの眺めも素敵そうだけど。多分、酔っちゃうなぁ」「ハニーは、船はダメだからなー。ま、他にも色々あるけどな」
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