ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それに頷き、ため息をつきながら彼女がボヤいた。「本当に分かんなくて、なんか聞いてる内にちょっと薄気味悪くなって来たくらい。あれなら痴漢男や、出しの信長さまのが、まだ平気だ」 彼女の言う[出しの信長さま]は自称信長を名乗る露出狂でたまに掴まる常習のヤツの事だ。「信長のが、ましならよっぽどね。じゃあ、小笠原と、如月。アンタ達が一番話、分かりそうだし。代わってやって。この娘、疲れ切ってるみたいだからねえ」 ぐったりする彼女に明智さんがカップを渡す。「ほら、一息入れろ。アイスココアだ」「ありがとうございます。はぁ美味しい」「美味しいか? それなら良かった。疲れた時は甘いものが一番だからな」「それにしても、ああいうのも勉強しないとダメかな。僕、さっぱり分かんないもん」 彼女が考える顔つきで言い出した。「無理しなくて良いんじゃないの」「そうかなあ。小笠原さんみたいには行かなくても、少しはネット用語とかも分かるようになんないとダメなんじゃないかなあ……」「やめた方が良いよ。君、素直な所があるから感化されておかしくなると困る」「うわーやだな。チビがネット用語バンバン使うようになったら」「あかん、そんなんいややわ」 如月と藤守が騒ぐと、室長と明智さんも頷く。「確かに、ねえ」「チビ、無理するな。うちには小笠原や如月もいるんだ。大丈夫」 妙な風になったらやっぱり困る。二人も止めに掛かった。「それにいざとなったら、小野瀬のとこのフトシ連れて来たら良いわ」「あーなんや、詳しそうやわ」「えー、それさイメージで言ってるよね。太田さんに悪いよ」 彼女がたしなめる。「とにかく、お前はネットスラングなんて覚えなくてもいいの。分かった?」「昴も反対?」「ああ、お前がさっきの*マル被みたいになったらちょっと困る。まあ、それでも嫌わないけどな。慣れるまで疲れそうだ」「そう、だよね。疲れるよね。僕も、すごく疲れたもん。こんなに疲れた取り調べははじめて……世の中色んな人がいるなあ」「あーあ、よっぽど疲れたのねえ。じゃあ、チビ助。元気回復に今日上がったら美味しいものでも食べに行きましょうか? もちろん、冷え冷えビール付きよ」「ええですねえ」「みんなも行くでしょ?」「行く」「あら、珍しい。小笠原乗り気ねえ。如月はぁ、もちろん行く、か。明智は? なら全員参加ね。じゃあ、小笠原、如月、二人とも、取り調べちゃちゃと終わらすのよ」 二人が取り調べ室に向かう。室長がそれを見送りながら言った。「これから、暑くなるときっと増えるわねえ。アンタ達も頼むわよ」『はい』とみんなで返す。 室長の言う通り、夏に向けてこんなのが増えて来るだろう。まあ、それを捕まえるのがオレ達の日常なんだが……。 想像がつくだけに苦笑いのオレ達だった――。*マル被:被疑者── 取り調べ。 ──End.
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。