ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──スリー・ツー・ワン── こないだ買い物に行った時の事だ。ふと気が付くと、横にいると思ってた彼女がいない。振り向くと、家電量販店の前で立ち止まって何かをじっと見てた。戻って何を見てるのかと覗くと[感謝セールお買い得タブレット]とある。彼女が一箱手に取る。「買うのか?」「ん、お安いもん」「確かに、安いけど後でそれなりの買った方が良くねーか?」「いや、そこまで欲しい訳じゃないの。ただ、僕がちょこっとネット見る位ならこれで十分かなって。それに良いの買っても宝の持ち腐れになるよ。これでもネット見るだけなら大丈夫でしょう?」「それは大丈夫だけど、ちょっと重くねえ?」「ま、このお値段だから多少は仕方ないよ。あ、設定とか分かるかな。有料サポートとか、払うとお安く買う意味がない。……取説見たら僕でも分かるかなあ」「あ? そんなの必要ねーよ。オレがやってやる。だいたいな、オレですら分からねーような状態にもしなっても、いるだろうが。超詳しいのが」「小笠原さん?」「そ、お前がタブレット持って『困ってるの』って言えば、直ぐやってくれるよ」「なんか悪くない?」「逆に有料サポート入ったなんて小笠原が知ったら『俺がいるのに。君、本当は俺を信用してないんじゃない?』っていじけるよ。きっと」「うわー今想像出来ちゃった。じゃ有料サポートは申し込まないでいいや。昴、分かんなくなったら使い方とかも教えてくれる?」「ああ、教えてやる。でもうちのノートとそんなには変わんねーぞ? お前、あれでたまにネットやってるだろ?」「でも、うちの指で画面やんないよ? マウス使ってる。これ昴のスマホみたいに指で触るやつでしょう?」「ん、そうだな。うちのタッチパネルPCじゃないからな。うちのノートもそろそろ新しいの買うか……。ま、直ぐ出来るから大丈夫だよ。簡単、簡単」「そう。なら買って来る」 彼女はお買い得タブレットを持って、いそいそと会計に向かった。 ● ○ ● ○ ネットが出来るようにして使い方を教えてやった。 それから我が家のアナログ姫も、前よりネットを見るようになった。 YouTubeでバイクの動画を見たり乙女ゲーのプロモーションや料理サイトを見たりして、それなり楽しんでいるようだった。 今日もソファーで本を読んでいたら、隣に来てオレの膝枕で横になった。「ねぇ、足重い?」「あ? 大丈夫」「邪魔じゃない? こうしてて良い?」「ん、良いよ」 そう言うとゴロゴロしながらネットを見始める。暫くそうしていると『ねぇ』と呼ばれた。「今、話しても平気?」「ああ。何か見つけたか?」「うん、今日ねぇ。催眠術の日なんだって」「そんなのあるのか?」「ん、催眠術のかける時の合図が、スリー・ツー・ワンだから、三月二十一日が催眠術の日になったみたい」「何か単純な理由だな。ふふ……」 オレと同じ事を思ってたのか彼女も『だね』と笑った。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。