小野瀬:おや。おチビちゃんは、自分で気付いてないの?
彼女が頭の上にクエスチョンマークを浮かべたような顔で、小首をかしげた。
穂積:どうしようかな? 教えてやろうかなー、今後の為に黙ってようかなー。
ニヤニヤと室長が、彼女をからかう。
なまえ:むぅー。なんか室長、いじわるぅ。
穂積:ははは……何日かぶりに、タコ顔見たな。
なまえ:もー!
如月:あはは。いつもの光景ですねー。
如月が楽しげに笑う。小笠原もちょっと口元をゆるめてからポツリと言った。
小笠原:捜査室名物。
小野瀬:美女と野獣の掛け合い漫才。
穂積:どこが野獣よ? あ、分かった。
小野瀬さんの言葉に『美女と』自分を指し、彼女の事を指し『野獣か』と言う室長。
全員が一斉に『ええー! 気持ち悪いー!』とブーイング。
なまえ:自分で美女って……。いない内に、更にオカマに磨きがかかったねー
ケラケラと笑う彼女。
なまえ:はは──ひっ! あ゛、むぎゃ!
ムッとした室長に鼻をぎゅっとされる。
穂積:生意気ねぇ。鼻、高くしてあげるわぁ。
なまえ:いたた……痛いってぇ。離してー!
小野瀬:あーあ。帰った途端に。おチビちゃん、もうすっかり穂積のおもちゃだな。
明智:お、おもちゃってあやし過ぎる……。
小笠原:明智さん。何考えてるの? 本当に、なんの想像をしてるんだか……。
如月:明智さんってー、実はムッツリですよねー。
明智:な、何を、言ってる。俺は別に──
なまえ:むきゃー! 痛いーよぉ。もう、離せーって!
話してる間に立ち上がってた二人。未だに鼻を摘まんでる室長。彼女は何とか外そうと、バタバタするが、外れないし身長差があり、室長にも届かない。
穂積:やーい! おチビー、届かないだろう。あはは。
室長がガキ大将みたいな顔で彼女をからかう。すごく楽しそうだ。
なまえ:くぅー! 絶対、おっきくなってやるぅー!
彼女のくやしげな雄叫びに、笑いに包まれた捜査室だった──。
20。へ続く。
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