─昴の家。─
昴:お前、麺類好きだったよな。今晩、冷やし中華にするか?
なまえ:おー冷やし中華良いな。
昴:ん、了解。じゃ旨いの作ってやるよ。
なまえ:(カチャ、キー)……!ヒィッ!!ギャァー!!うわぁーーっ!!(バタンッ)
昴:なっなんだっ!どうしたっ!なまえ!
なまえの悲鳴にキッチンから慌てて来ると
なまえがトイレから飛び出して来た所だった。ズボンも上げず下着も少し脱げそうに下がったまま転げ出て来る様は、いつもの冷静さはまるでなく異様だった。
蒼白でズボンに足を取られ転ぶとズボンが脱げるのも、そのままに這いつくばって部屋の隅に逃げて行った。
膝を抱え身を小さくしてガクガクと震えるなまえ。
昴:なまえ?何があった?どうしたんだっ!?
なまえ:…ヒッ…やっ、や、だ…やだ!こわい!こわいよぉ!ヒィー…こわい…こわい!
(昴:ダメだ、オレの声が聞こえてない。…こんなに怖がるって事は虫か?)
昴はトイレに行き見回した。壁にムカデがいた。
昴:わっ!これか!こ、これは怖いよな。
殺虫剤を取り引き返すとムカデと対決した。
(昴:ムカデなんて生まれて初めて見たが…こ、こいつ…小せーくせに素早いしシブてー!だが、負けてらんねーんだ!)
なんとか仕留め処分した。
昴:なまえ、大丈夫だ。もういないから
いまだに、蒼白で震えるなまえを抱き上げようと手を伸ばすとビクッ!っと飛び上がってヒィーと叫び頭を抱えてますます縮こまった。
昴は大丈夫だと言いながらそーっと抱き上げるとソファーに移動し、包むように抱き抱えて震える身体を優しく宥めるように擦り、もう大丈夫だと声を掛け続けた。
しばらくそうしてると、震えが収まり徐々に落ち着いて来たが顔色は青いままだった。ふと、思い付き
昴:どこか、噛まれたか?
言葉なく青い顔のまま頷くなまえ。
昴:どこ?
喋る余裕までまだないのか、どことなく茫然としぐったりしてるなまえの身体をあっちこっち見て行くと左の足の太ももの裏が赤くなっていた。
(昴:知らずに座った所にムカデがいて噛まれた…っていうことかな。見るだけでも怖いはずだから触ったとなると…ましてや、噛まれたとすると、ダメージが大きいな。そうだ…ムカデに噛まれたらどうするんだ?)
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