いきなりの涙に、驚いたアルベルトさんはわたわたとした。
アル:えっ? なまえさん?
ロベルト:あっ! アル、泣かせた!
海司:あー、やっぱり……そろそろヤバいと思ったんだ。
アル:あ、あの……私が、何か失礼な事を申し上げてしまいましたか?
なまえ:いへ……ちが……ヒ……ック……しゅみ……グシュッ……ま……グスッ……しぇ……ゥウ、ウェッ……ん……
泣きながら何とか謝る彼女。
昴:あー、よしよし。
引き寄せ抱いて、ぽんぽんとなだめる。目の前でどうしたものかと、狼狽しおろおろとするアルベルトさんに心配ないと告げる。
昴:アルベルトさん、大丈夫です。気にしないで下さい。何と言うか──彼女は、こういうの弱いんです。
アル:はぁ……弱い、でございますか?
昴:えーと、涙もろい──She is easily moved to tears.
アル:ああ。なるほど。なまえさん……。
状況を理解したアルベルトさんの瞳が優しくなる。とても優しい顔をして彼女を見る。脇にあった手をあげて、そっと彼女の頭に置いた。そして、いたわるように優しい動作で撫でた。
ロベルト:うわ、アルのあんな顔、初めてみた。
ロベルト王子の言葉が聞こえたのかアルベルトさんはまた“ゴホン!”と咳払いをした。その顔は赤い。
アル:……。ロベルト様、ロベルト様も少しはなまえさんを見習って欲しいものですね。全く……。
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