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僕は、ドアを気にしながら窓の外に昴が来るのを内心はらはらしながら待った。
(なまえ:昴、早く! ここが見つかるのも時間の問題だぞ)
それからあまり時を待たずして、窓の外から潜めた昴の声が聞こえた。
昴:なまえ……。
窓を音を立てぬように気を付けながら開けると梯子を使い昴が来てた。同じく声を潜める。
なまえ:昴、梯子か……まず、プリンセスを。
二人でプリンセスを支え手伝いながら下ろす。少しでも安心させようと微笑み小さな声で声を掛ける。
なまえ:プリンセス、良いですか? 下を見ずに焦らず降りて下さい。大丈夫、昴がついていますから。彼は優秀ですから心配いりません。ね?
プリンセス:はい。貴女は?
なまえ:僕は……後から参ります。
笑顔でプリンセスに言った後、昴に言う。
なまえ:昴、もう奴らが来る。後を追われたら、安全に逃げられる確率が下がる。だから僕がプリンセスのフリをして時間を稼いで奴らをこの建物で足止する。プリンセスを頼んだよ。
昴:お前、バカ言うな! 一緒に──
なまえ:シィー。昴、私情を挟まず冷静に判断してくれ。僕達の最優先事項は何だ? お前が、僕に言った事だぞ? フッ、……忘れたか?
昴:……マルタイの安全だ。
なまえ:そう。そして僕は警察官で、今はSPだ。僕らは職務を全うしなくちゃ。昴、僕を信じろ。相棒だろ?
心配に顔を曇らす昴に僕は、笑顔で言い切る。
昴:……分かった。プリンセスの安全を確保して必ず戻る。良いか。……死ぬんじゃねーぞ?
なまえ:ああ、当たり前だ。僕を誰だと思っている
少しでも彼の不安を和らげたくて、僕は余裕たっぷりに見えるようにフッと不敵に笑ってやった。
なまえ:必ず、お前の元に戻るよ。約束する。さ、早く。
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梯子を降りると、彼女が下に降りたのを見届け窓を閉める。敵の目を窓に向けない為だろう。
彼女の無事を祈りながら、プリンセスをみんなの所へ誘導する。
長い事SPをやって来たが今ほどこの仕事を辛く感じた事はない。
(昴:なまえ、死ぬなよ……)
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