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──コンコン──
翌早朝、ドアをノックする音で目が覚めた。
昴:ん?
オレはバスローブを羽織り、眠る彼女を起こさないようそっとベッドを出てドアへ向かう。
──コンコン──
昴:どなた?
声を掛けながらドアスコープを確認する。
アル:アルベルトでございます。
開けると執事服や着替え等を持って来てくれたようだ。ワゴンに色々乗っている。
アル:失礼致します。こちらでよろしいでしょうか? もし何か御入り用であればまたご連絡下さい。おふたりは当家の主人の我が儘に付き合わせたようなもの。私(わたくし)、出来る限りの事はさせていただきたいと思っております。ですので、何かお困りの際も、ご遠慮なきよう……。
昴:お気遣い、ありがとうございます。
頭を下げていると、にぎやかな声がした。
ロベルト:昴たん、おはよう! なまえちゃんは? まだ寝てるの?
止める間もなく横をすり抜け、入って行く。ベッドに近付く王子。
昴:え? あ!
(ヤベー! なまえは今……)
昨夜も愛し合って眠りについた。布団は掛かってるが彼女も裸だ。焦るオレ。
が、すでに王子はベッドに到着し、彼女の寝顔を除き込んでいる。
ロベルト:うわ、可愛い寝顔。赤ん坊みたい……。
『柔らかそう』と王子が呟きを漏らし、眠る彼女の頬を思わずという感じで、指の背で撫でた。
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