定時で仕事を上がり、彼女と一旦自宅に戻り支度をする。
オレはTシャツに黒のレザーのジャケット、黒のレザーの細身のパンツにブーツ。
彼女は*[あの胸にもういちど]のマリアンヌ・フェイスフル如く、全裸の素肌に黒のレザースーツをまとう……と言うワケにも行かず、一応ショーツ1枚だけは穿いてからレザースーツを身に付け、その上にジャケットとブーツ。
もっともオレと同じ格好をしようとしてたのを半ば強引に取っ捕まえてオレがレザースーツをパパッと着せた。
彼女の世話を焼くのは楽しい。
普段、自立心の強い彼女に子供みたいに徹底的に世話を焼くと甘え慣れてない彼女は、こんな風に恥ずかしがり照れまくる。それが可愛い。もっとかまってやりたくなる。
最初は世話焼きの自分なんて信じられなかった。
異動して彼女を知るまでは、オレの世界は面倒くさい事で溢れかえっていた。
お偉いさんに愛想良くするのも、父さんや親戚共の前でエリートで出来が良い一柳家の跡継ぎでいるのも、結局破談にしたが どーでも良い婚約者の相手をするのも、面倒くせー。
女に真剣になるのなんて面倒。適当な付き合いを繰り返した。
そんなオレを当時、同僚だった後藤は人間のクズを見るような目で見てた。
多少ムカついたが、関わるのが面倒で知らないフリを通した。当然アイツのオレへの評価は低い。いまだにつっかかてくるのはそのせいだろう。
*4。P16の話題です。詳しくはそちらをご覧下さい。
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