オレはマスターの元に行き、ある事を聞て楽譜本を借り戻った。
小野瀬:おや?昴君も弾くの?
昴:まあ、少しですが……良いですか?
小野瀬:ああ、交代しよう。
昴:ここ、おいで。
なまえ:え?隣に座るの?僕、まだピアノ弾けないよ?
昴:心配するな。演奏はオレがするから、お前は歌うの。
なまえ:え?歌?
戸惑う彼女を引き寄せ、並んで座る。
なまえ:くるみが起きちゃわない?大丈夫かな?
翼:もうぐっすり寝てるから大丈夫よ。
昴:じゃあ、もっと良い夢が見られるように、この曲から。
オレは[モーツアルトの子守歌]を弾く。彼女が時々、オレに優しい声で歌ってくれるやつだ。歌い出しを歌って誘うように促すと、オレを見ながら彼女も歌い出す。
~♪~~♪~♪
小野瀬:へぇー、綺麗な声だな。
穂積:良い声してるじゃねえか……。
昴:さ、次はこれを歌ってくれ。歌詞はここ。
マスターに借りた本を彼女に見えるように広げる。
なまえ:え?これ?
昴:大丈夫、歌えるよ。……なら、一緒に歌おうか。
オレは[FLY ME TO THE MOON]を弾きながら合図を送り彼女と一緒に歌う。
今夜も彼女の綺麗な声が心地好く響く。
この曲は少し前にカーラジオから流れて、彼女が『この曲、ラブソングなんだよね。僕、好きなんだ』とラジオに合わせ口ずさんだ。
彼女の声は柔らかく伸び、綺麗で耳に心地好かった。彼女の歌を聞いて、オレは一遍でこの曲を好きになった。
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