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(いやだ……やっと大事だと思えるひとに出会えたんだ。失いたくねーよ。彼女を失いたくない! 絶対に、失いたくない!)「──なせねーっ! 絶対、死なせねーよ! おい、なまえっ! しっかりしろ! 目、開けてオレを見ろ! ……んなの、冗談じゃねー!……飲めねーなら、オレが飲ましてやるよっ!」 ペットボトルをあおり、頭を抱えると口移しに流し込んだ。他のメンバーの息を飲む気配がしたがその時のオレには、そんな事はどうでも良かった。ただ彼女を助けようと必死だった。 少しずつ流し込むと、彼女の喉が動いた。また、ペットボトルをあおって口に含むと彼女に口移しに、少しずつ飲ませた。何度か繰り返すとやがて、彼女がうっすらと目を開けた。まだもうろうとしてるのか、その目は焦点があっていなかった。オレを見て、彼女の唇がゆっくりと動く。「……ん……す、ばる……なん……て……かお……し……てるの? だい、じょ……ぶ?」 オレに向かって腕を伸ばそうとするが、持ち上がらないみたいだ。「お前……。こんな時までオレの心配してんじゃねーよ……」 込み上げて来て涙が零れそうになる。ぎゅっと彼女を抱きしめると、だらんと力ない彼女の腕が下がる。「ん? おい、これ見ろ! 腕に注射の痕がある。という事は、通院してた可能性があるな。昴。お前、チビ助から何か聞いてるか?」(なんだ。これ……こんなにあとになるって事は、ずっと病院に行ってたのか? なまえ、なんで何も言わねーんだよ! ちくしょー! オレは……なんでもっと、見てなかったんだ!) 自分に対する怒りやショックで呆然となりながら、注射痕を指で擦り首を横に振った。「……そうか。おい、誰かチビ助の持ち物の中に、診察券がねえか確認しろ!」「ありました。阿久津診療所ですね」 明智さんが見つけた診察券を見ながら言う。「阿久津診療所、彼女は六月になってからほぼ、毎日受診してる」 小笠原がパソコン前に戻りすぐに調べた。「おい、小笠原。お前、又ハッキングしたのか。……まあ、今はいい。とにかく、一柳を残して他の者は外に出ろ。明智は、阿久津診療所の担当医に電話して。倒れた事と受診が関係あるかも知れない。藤守は一応車の用意をして置いてくれ。昴、お前はチビ助を着替えさせろ。出来るな? 昴、しっかりしろよ?」「……はい」 室長に励まされるように言われ、オレは彼女の着替えの準備に掛かり、みんなもそれぞれ行動に移った。
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