すると、足音が幾つも聞こえて来た。
なまえ:うぐっ…、ヒック…だ、誰か来るーー、こんな格好なのにーーぃ ぅわーーン、やだよーーひっぐっ。
彼女がひぐひぐっと泣きながら叫ぶ声に、オレも内心かなり焦っていて……おまけに、焦った彼女が動くのでなかなかロープが解けない。
昴:なまえ、大人しくしてろ。もうすぐだから、動くと余計解けないだろ?
なまえ:ヒック……わ、分かった──ヒック、あ、危ないっ!
昴:え?
振り向くと、どうやら山口が背後から攻撃して来たようだ。だが、飛び込んで来た室長に、捕まり思いっきりぶん投げられた所だった。
彼女は、オレの危機にびっくりして、涙が引っ込んだようで。泣くのも忘れ、オレの無事に「はぁー」と息をつき、ホッと脱力した。室長はチラリと彼女を見るとスッとしゃがみ、オレに
穂積:おい、足は俺がほどいてやるから、お前は手錠を外してやれ。急がねえと──
チビーー!!と叫んで捜査室のメンバー全員と小野瀬さんと谷田部が駆け込んで来て、あっ!!っと絶句する。
昴:あ゛ー!!
穂積:はぁあー、間に合わなかったか……。
室長が額に手をあて、深くため息をつく。
なまえ:ヒィーーィ、 イ、イヤーァアアァアァーーーッ!!!
その直後、建物が揺れたんじゃないかと思う程の彼女の大絶叫が響き渡った──。
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