ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
藤守が、すぐに戻ってくる。「買って来ました!」「明智、塩混ぜて振っとけ。後はコイツ起こさないと。おい、真山、おいっ!」 室長が抱き起し、バチンバチンと頬を張る。「っ!! ちょっ、ちょっと!」 でかい手で強く叩かれるのを見て、思わず室長から彼女を奪い頭を守るように抱えた。「なんだ! 昴!」「なんだ──って……。でかい手でそんなに思いっ切り、バチバチと叩かないで下さいよっ!」「しょーがねえだろうが。目、覚まさせねえといけねえんだからっ!」 強く抗議したオレに、室長も怒鳴り返してくる。「ボス、それは分かります。分かりますが、それにしたって……」 明智さんが言うのに、室長が不満げに反応する。「あ゛あ?」 小野瀬さんが見かね、さとすように室長に言う。「少し落ち着けよ。穂積。気持ちは分かるけど。お前ねぇ、なまえ君は女の子で男より肌が柔らかく出来てるんだからさ。そんなに乱暴にしたら、後で真っ赤かに腫れちゃうよ」「じゃあ、どうすんだっ!!」 室長がイライラと声を荒げる。「……んー」 怒鳴り声で目を覚ましたのか、彼女から声がもれる。「なまえ? 気がついたのか! なまえ、おい、なまえ!」「……ん、す……ば、る……」「チビ助、しっかりしろ! 昴、これ飲ませろ!」「なまえ、これ飲め」 腕の中の彼女の身体をもう少し起こし、ペットボトルを持たそうとした。だが、彼女はぐったりとしてペットボトルが持てなかった。「……ぅご……な……ぃ……」 消えそうな微かな声で、途切れ途切れに彼女が言う。オレは強烈に不安になり、ゾッとした。「真山? 身体動かないのか? おい!」「…………」 室長の呼び掛けに、唇がわずかに動くが声が出てない。「お、おいっ! なまえ!」 焦り、オレは必死に呼び掛けた。「……チ、カ……ラ、で……なぃ……」 意識が朦朧としているのか、目が泳ぎ焦点も合わないようだった。彼女の口元にボトルを当てどうにか飲ませようとするが、うまく飲み込めないのか口端から溢してしまう。「チビ……飲めないのか? だ、大丈夫だよね……?」 如月の不安な声が、耳に届く。(大丈夫? 大丈夫ってなんだ? ……死ぬ、って意味か?) 混乱する頭で必死に考える。[死]という言葉がオレの頭の中で、ぐるぐると渦巻く。「ばかやろう! こんな時に縁起でもねえ事言うんじゃねえ! 大丈夫に決まってんだろっ!」 室長が怒鳴るが、その声にはやはり焦りの色が含まれていた。つられるようにオレの中の焦りと不安が、頂点まで高まった。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。