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● ○ ● ○ 捜査室へ戻ると珍しく全員揃っていた。ふたりで『ただいま戻りました』と入っていくと、口々に『お帰りー』と声がかかる。「はい、お帰り。お疲れさま。一柳、チビ助、よくやったわね」「よう、お疲れ。なんや、お嬢、凄い汗やな。早よう着替えな風邪引いてしまうで」 藤守の言う通り、彼女は汗びっしょりだ。明智さんと如月もやってくる。「大丈夫か? チビ。顔色も悪いな」「あれー本当だ。朝より悪くなってるぞ」「チビ、着替えて少しソファーで横になったら?」 小笠原も、パソコンの前から離れ、心配げに声を掛ける。その声に室長も立って来て彼女を覗き込む。「本当だ。アンタ、つらそうね。チビ助、大丈夫?」 ソファーを振り向き、小野瀬さんに怒鳴るように言う。「おい、小野瀬。そこ開けろ。だいたい、お前はうちのソファーで寝るんじゃねえ! 」「あー、はいはい。おチビちゃん、きみ、本当に顔色が悪いね。早く横になって。なんなら、添い寝してあげるよ」「小野瀬さん! セクハラですよ!」 彼女に代わり、如月が文句を言う。「なまえ、とりあえず早く着替えろ」 そう言って後ろの彼女を振り向くと、赤かった顔が血の気を失い青白くなっていた。その変化にぎょっとする。「っ!! なまえ、大丈夫か?」 声を掛け手を伸ばした時、彼女の身体がぐらりと傾き崩れた。オレはとっさに抱き抱える。彼女の名前を呼ぶが、意識がない。青白い頬に触れると、ひんやりとしていた。体温があまりに低く、手にぬくもりが伝わって来ない。途端に不安が押し寄せた。このまま、彼女を失ってしまいそうな気持ちに捕らわれ、激しく動揺した。必死に、なまえの名を呼びながらその身体を揺らした。「……ぉ……い……おいっ! 一柳っ! しっかりしろ!」 室長の声で我に帰る。「意識がないのか? 呼吸は?」「意識、ありません。呼吸は──あります」 何とか答えると小野瀬さんが言う。「とりあえずソファーに寝かせよう。ネクタイとかゆるめて。身体を楽にした方が良いい」 ソファーに降ろしネクタイとボタンを外し、ベルトをゆるめようと腹に触れると洋服が濡れていた。はっとしてシャツをめくると、バスタオルの胴巻きが絞れそうな位に汗で濡れていた。後ろから見ていた室長が驚く。「あ? なんだ、それ? 腹巻き? この気温でそんなもんしてたのか?」「おい、もの凄い汗じゃないか! 着替えさせないと。体温が下がる一方だ」 明智さんも汗に気づき驚く。小野瀬さんが、肩を叩きながら声を掛ける。「なまえ君、なまえ君。──まだ意識が戻らないな」 そう言って彼女の目をアッカンベーをするように見た。「真っ白だ。どうやら貧血も起こしてるようだよ」「それと、熱中症かも。経口補水液を、早く飲ませた方が良い」「経口補水液なんて庁内にはねえぞ」「室長。ドラッグストア、行って来ます」「いいや、待って藤守。外のドラッグストアまで行ってたら時間が掛かるよ。急いだ方が良い。クエン酸入りのスポーツドリンクなら自販機にあったよね。確か、それに塩分を加えた物でも代用出来るはずだよ」 小笠原の言葉に室長の指示が飛ぶ。「藤守! クエン酸入りのスポーツドリンク買って来い! 明智、給湯室に塩あったら持って来い!」
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