夜 昼間のひかり公園に来ている。公園には桜のアーチがあり、その先にも桜があるんだそうだ。
なかなかの穴場スポットらしい。
彼女曰く、奥も綺麗だが、手前のスペースからなら、土管遊具から眺めるのが綺麗で、好きだったらしい。
オレは彼女おすすめの土管遊具から眺める事にした。
この遊具はコンクリートの山に、大中小の大きさの違うカラフルな7本の土管を差し込んだような作りで、後ろに滑り台がついていて、脇の階段から登って、滑り台として遊んだり、下の土管をくぐって遊んだり出来るらしい。
彼女が子供の頃は下の土管に入って見ていたそうだ。
どんなもんかと大きな土管に入ってみる。確かに桜はみごとで綺麗だった。
綺麗だけれど──
なんだか寂しい……。
こうやって幼い彼女が1人ぼっちで眺めていたのかと思うと、胸がきゅーっと痛くなった。
そんな事を考えいると上から 楽しそうな声が聞こえる。
なまえ:昴?土管の中じゃ、汚れるぞー。 昴と公園の遊具って合わないないなぁ……ふふ…。ねぇ、こっからでも綺麗だよ。こっちおいで?
その声を聞いて、少しホッとする。過去はどうにも出来ないけれど、少なくとも今彼女は楽しそうに笑ってる。
昴:あ?何か言ったか?
なまえ:んーん、なーんにも。はい、手拭く?
ウェットティッシュをオレに渡すと後ろにまわり「あーあ、やっぱり」とクスクス笑いながら、背中や尻の汚れを払ってくれる。
何だか、ガキに戻ったみたいな気分でちょっと気恥ずかしい。
なまえ:はーい。綺麗になったよ。あれ?何で赤くなってるのかな?昴くん。クスッ…。
昴:何でもねー。ったく、かなわねーな。
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