何で裏山の小屋に閉じ込められたか、それは分からない。
ポロポロと涙を溢しながら彼女が、ぽつりぽつりと語った事は幼い子供にはとても過酷で残忍な事だった。
閉じ込められてずいぶんと長い時間が過ぎた頃、おばあさんが苦しみだし、必死で助けを呼んだ。助けたくて必死に扉を開けようとした。
でも幼いなまえにはどうする事も出来なかった。
彼女は辛く苦し気に、その後悔の念やおばあさんの最期の言葉を、オレに教えてくれた。
亡骸の傍らでしばらく泣き続けて、寝て起きて…そうして幾日か過ごした。
すると、その内ばあちゃんに虫がたかり始めた。最初の内は必死に追い払った。
だが、それもいつまでも続かず疲れて、いつの間にか眠り、ある時、目覚めると虫が自分にもたかって身体を登って来た。その事にとても恐怖を感じ、叫びながら振り払い、小屋の隅に逃げた。
優しかった大好きなばあちゃんからは、嫌な臭いがして沢山の虫がたかり、いつしか、怖いものになった。
ビクビクと小屋の隅で小さくなりながらそれを眺めた。
そんな怖い状況でも喉の渇きと空腹を感じて、もうすぐ自分もああなるのだという恐怖でいっぱいになった。
その時、表の遠くの方で母親の声がした。必死で扉を叩き、開けてくれ、助けてくれと哀願した。
だが、結局母親は絶望的な言葉を残し去ってしまった。
ゾッとする程、冷たい声で
『フン、お前もさっさと虫に喰われな。』と。
それを聞いたなまえは、もう全ての気力が無くなり「もういいや」と小屋の隅に横たわりボーッとしていたそうだ。
その内に意識は無くなった。
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