ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
● ○ ● ○ オレは気になっていた。帰り際のなまえのあの寂しそうな顔が、頭から離れない。タクシーに乗る気にもなれず、彼女のことを考えながらもうだいぶ歩いて来ていた。「あーもう! 気になって仕方がねー!」 たまらず、口にしてまた迷う。(……アイツちゃんと寝たかな。もしかして一人で泣いてたりてしねーよな? でも、すげー寂しそうな顔してた。……戻るか? だけどもう夜中だぞ?) さっきから同じ思考をぐるぐると迷っていた。オレらしくもなく、結論が出ない。迷い、立ち止まると後ろ髪を引かれ、もうそれ以上足が前に進まなくなった。「ああー! あんな顔されちゃ、ほっとけねーだろっ!」 くるりと振り返り、オレは今来た道を駆け戻った。 アパートの前で仰ぎ見ると、電気はついてないもののカーテンが開いている。「あ? さっきカーテン開いてなかったよな?」 小さくひとりごとを溢すと少し不安になった。 一旦、息を整え入り口に向かう。部屋の前でそっとノブを回すと動いた。 カーテンも開いてた。ドアの鍵も閉めてない。何かあったか? 少しの不安が、急激に心配に変わる。 そのままドアを開け、中に入ると薄闇の中ぽつんとしてる姿が目に入った。『僕は一人でも大丈夫。一人なんて……慣れてるもん……平気だ』そう、寂しそうに呟いて酒を呷るなまえに、胸が締め付けられる。(やっぱり泣いてやがった。ったく……一人で泣いてんじゃねーよ。戻って良かった。ひとりぼっちにしないで済んだ……やっぱりオレ、なまえをほっとけねぇー) 胸の中で呟く。「なまえ。お前……鍵、閉め忘れてるぞ。なんだ、また飲んでんのかよ」 声を掛けるとなまえは、ビクッと飛び上がりスゲー驚いた顔をした。それからハッとして、慌てて顔拭いた。[今更拭いたって、もう遅せえつーの]と言ってしまいそうになったが、焦ってる姿を見て口にするのをやめた。「す、昴、ど、どうして……あ、わ、忘れ物??」 本人は意識してないが、なまえは動揺するとどもる。今、動揺しまくってるみたいだ。かなりどもって、あたふたしている。(……あーもう、たまんねー。痩せ我慢ばっかしやがって。抱きしめてやりてー!) そんな彼女を見ながら、オレはそう強く思った。
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。