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● ○ ● ○ ドアを閉めて昴が出て行く。(ねぇ、帰らないで……。もっと一緒にいたい。もっと声を聞いていたい。昴といると安心するの、寂しいよ。一人はイヤだよ……) 引き止めたい気持ちをグッとこらえ見送る。(これで良い。そんな事口に出しちゃ、いけないんだ。昴が優しいからって。彼は僕なんかが、惹かれちゃいけない人。だって、つり合う人じゃない。住む世界が違うもん……言っても、困らせるだけだ。こんな気持ち、忘れなきゃ……) ソファーの上の物を乱雑に下に落とし、くまを置いてバスルームに向かう。シャワーを浴びて、大きめのYシャツを羽織る。 寂しさがつきまとう。 リビングへ行き明かりは着けずに、カーテンを開けて月明かりを入れる。そのまま窓辺からぼんやり外を眺める。(気持ちが、切り替えられない……) ふぅーとため息をつき前髪を掻き上げながら、この持て余した寂しさをどうしようかと思う。 踵を返し、キッチンへ向かった。冷蔵庫から牛乳を取り出して、焼酎と氷とグラスと共にソファーに運ぶ。ソファーにあったくまをぎゅっと抱きしめ、顔を埋める。もう一度ふぅーと長いため息を吐き、ゆっくりとミルク割りを作る。「飲み過ぎだ、な」 自嘲し苦笑いが出る。「フ……血は争えない、か」 薄闇の中、ミルク割りを呷る。こういう大勢で騒いだ後の、一人の時間は嫌いだ。一人暮らしはもうずいぶん長い。でもこの寂しさには、いつまで経っても慣れない。シーンとした部屋で一人になるのはたまらない。こういう時は、決まってコンビニに寄って【一人に慣れてから】帰宅する。だけど今さらコンビニに、行く気にもなれない。その代用が、お酒。このまま酔って眠れたら良い。だけど……。こういう時に限ってなかなか眠くならないんだ。(うまく行かないもんだなあ……) 寂しさばかりが、強烈に押し寄せて来る。「もー……」 泣きたくなんかないのに、涙が溢れ流れて来る。「弱虫で……やんなっちゃうよ……」 シャツで涙を拭い、自分に言い聞かせるように呟く。「大丈夫、……大丈夫。いつもと同じ。僕は一人でも大丈夫」 繰り返し呟いて、酒を呷る。「一人なんて……慣れてるもん……平気だ」 もう一度そう呟いてみても、涙は止まらなかった。
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