「小野瀬ーぇ、てめえは反省したばっかりだろうが! 全く──」
説教が始まりそうな室長を如月が遮る。
「えーでも知りたくありませんかー? 何色か」
「だよね。どうなの? 藤守君、一柳君」
「堪忍したって下さい。そんなの言えませんて」
「……言いません」
「一柳君はケチだなあ。本当は藤守君にも見せたくなかったのかな……」
その時なまえの声がした。
「……昴ぅ……飲んでる? 室長ーぉ……むにゃむにゃ……」
「……プッ。寝言、言ってやがる。ん? あっははは。口が動いてる。何か食ってる夢でも見てんのか? 全く、面白れえなあ。チビ助は」
「本当だ。口、モグモグしてる。うわー何か小動物みたいで、可愛いー!」
その言葉に、明智さん、小笠原、小野瀬さん、藤守が近寄って覗き込み『本当だ』『ホンマや。どんな夢見てるんやろ』と言ってると如月が突然『ペットにしたい!』と言い出した。
「確かに。おチビちゃんみたいなペットなら楽しそうだ」
「ペットって……危ない感じがするんは、どうしてやろ」
「まだお腹が空いてるんじゃないのか? こんな事なら、何か作って来てやれば良かったな」
「ほら、明智さんだって餌付けしようとしてるじゃないですかー」
「チビ助は食いしん坊だからなあ。明智の旨い飯なら、簡単に捕獲されそうだ。……そういえば一柳も料理、プロ並みだって桂木さんに聞いたぞ?」
「えっ、桂木さんがそんな事を?」
「一柳さんも料理をするのか?」
「……はい。明智さんもですか?」
「明智は和洋中、デザートに、何でも作るぞ。それに、料理だけじゃなくて掃除とか編み物とかもやるし。一柳は? 料理だけか?」
「い、いや、色々と……」
「あ? なんだ? うちの連中には隠さなくても大丈夫だぞ。明智で免疫があるしな。でも、一柳は明智と話が合いそうだな。でもまあ、料理上手がニ人もいれば、チビ助の飯の心配はいらなそうだな」
「じゃあ一柳さん、今度差し入れお願いしますー!」
「一柳さんもモテるんやったな。やっぱり今のモテ男は料理上手なんやろか?」
ひょんなことからオレの秘密がバレて、ちょっと焦った。
「あ、そうだ。一柳、チビ助が埋もれたら、救出頼むぞ。お前、相棒だし丁度良かった」
「は? 救出ですか?」
何の事か分からず首を捻ると明智さんが教えてくれる。
「あーアレだ。チビは、一人暮らしが長い事もあって、料理はそこそこ作るが……。整理整頓が全く出来ない。それは、もう室長並みに……壊滅的に……出来ない」
「片付けられない女なんだよなー。チビは。こんなに可愛いのになー」
「なんや、如月。可愛いのと片付けが苦手は関係ないやろ?」
「えーだって、彼女にするなら片付けられない女は、ちょっと困るでしょう?」
「彼女が如月を、相手にするとは思えない」
切って捨てるように言う小笠原に『ひどいなー』と如月が騒ぐのを見ながら明智さんが続ける。