だが期待した事は起こらずスッと、メガネを掛けられる。
昴:……???
一瞬、混乱していると耳元で彼女がクスッと笑った。
なまえ:なぁに?キスでもされるかと思った?もうキスはしないんでしょ?残念、ね?ふふ…。
そう耳元で囁く声はコケティッシュに響き、オレをクラクラさせる。
そして…たけと柴ちゃんの言うスイッチが『デビルスイッチ』である事を一瞬にして理解し慌てた。
(昴:ヤバい!これは…怒ってる?いつの間にか…おあずけくわせてるつもりが、おあずけくってるのはオレの方じゃねーか!)
昴:な、なあ?
なまえ:うん?さっ、メガネも掛けたしこの後、どうするの?
焦るオレに彼女は何事もなかったかのように言った。
写真屋の片付けも終わり引き揚げて行く。
写真屋が帰るのを見て、まずオレの現状に気付かない奴らが「この後どうするか」と言いながら撮影場所の部屋から出て行く。
薄々、状況に気付いた奴らが『御愁傷様』と言いたげな顔でオレを見た後、頭を振りながらため息を吐き、先に行った奴らの後に続く。部屋には2人だけになった。
(昴:失敗した!またデビルにしちまった!やっとエンジェルに戻したのにー ちょっとやり過ぎた、か…。あーぁ…)
彼女の車椅子をゆっくり押しながらがっかりとしていると
彼女がチラリとオレを見上げ、クスッと笑った。
なまえ:ふふ…。昴さーぁん?みんなの前でドSは困りますよ?
昴:うん。
なまえ:…反省した?
昴:ああ、した。(シュンとして言う)
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