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そうこうする内、ちょっと静かになった。「なんだ、チビ助のやつ。フッ、静かになったと思ったら寝てやがる」 グラスを持ったままゆらり、ゆらりと、船をこぐなまえから室長がそっとグラスを取り上げる。 身体が傾き倒れて来て、横にいるオレの膝の上に“ポスンっ”となまえの頭が乗る。「あっ!」 思わずみんなの声が揃うが、なまえを起こさぬように慌ててそれぞれが口を塞ぐ。「むにゃむにゃ……」 なまえは気持ち良さそうにスヤスヤ眠っている。「……はあ。無邪気な顔しやがって。本当に……無防備過ぎるだろが、チビ助。しょうがねえな」 しょうがねえと言いながらも優しい目で見守るように寝顔を見つめる室長。「一柳、悪いがちょっとそのまま寝かせてやってくれ」「あ、はい」「ホンマに赤ちゃんみたいな顔して、気持ち良さそうに寝てますねえ」「今日は沢山泣いたから、疲れたんだろ」 そう言って酒を飲む室長にオレは、気になっていた事を聞いてみる事にした。「あの、室長。コイツの親が酷いっていうのは一体……」「ん? ああ。秋月から聞いてないのか?」「……昔から苦労して来た、とだけ聞きました」 ちょっとシーンとする。そこへ小野瀬さん達が戻って来た。「あれ? 穂積、何お通夜みたいになってんの?」「ああ。チビ助が寝たんでな。小笠原、大丈夫か?」「だいぶ良い」「本当だ。子供みたいな顔してよく寝てる。一柳君の膝枕なのは、偶然?」「偶然です」「重いんじゃない? 代わろうか? 一柳君」「いえ、大丈夫ですよ。小野瀬さん。重くありません。軽い位なのでご心配なく。それに、動かすと起きますよ」「小笠原。お前も横になってろ」 明智さんが、小笠原を寝かせる。「室長、さっきの続き教えて下さい。オレは相棒のこいつの事、もっと知りたいです」「ああ。……コイツはな、育児放棄されてたんだ」 室長が酒を飲みながら話し始める。「親父はアル中。コイツの前で母親に手を挙げる事もあったらしい」 オレと小野瀬さんは驚いたが、他の連中は知っているのか黙ったままだった。「母親は上の兄ちゃんばっか可愛がってな『アンタなんかいらない。アンタは疫病神よ。アンタがいなければ、私はこんなに不幸にならなかった』って小せえ頃から何かある度に言われたらしい」 室長は、そっとなまえの頭を撫でてから続けた。
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