「チビ助。言っとくけど、外で泥酔するまで飲むなよ？　まあ、うちの飲み会なら、構わねえが。全く、跳ねっ返りで危なくてしょーがねえな。ほら、藤守も飲め」
「はぁーい。気を付けまーす。藤守さんは何、飲みますか？」
「俺も、焼酎でええよ」
「藤守、お前もガキだからミルクか？　一柳は？　お湯、梅干し、烏龍茶、レモン、ロック、どれにする？　それとも、お前もお子さまミルクにするか？」
「もぉー！　室長ってばー！　美味しいのにぃー！　藤守さん、昴、本当にミルク割りって美味しいんだよ？」
　藤守とオレは、何だか子供のようにムキになって力説するなまえに、クスッと笑って『じゃあミルクで』と言った。

　皆、飲んだり食べたり移動したりして、それぞれ楽しんでいる。

「君の食べてるの、何？」
「あ、小笠原さん。ここ座る？　ササミの梅しそ巻きですよ。さっぱりして美味しいの。こっちはね、アスパラ巻き。どっちも美味しいよ。食べる？」
「うん、いただく」
　なまえが受け皿に取ってやってると明智さんも来た。

「チビは、さっぱり系が好きなんだよな」
「そう、わりとね。明智さんも食べる？　……うん、じゃあ今取るね。それに鳥料理好き。揚げ物も嫌いじゃないけど、やっぱりさっぱりのが好きかな。はい、どうぞ」
　小笠原と明智さんに皿を渡し、自分も取って食べる。

「んー。美味しーぃ」
「フッ、幸せそうな顔して」
（こいつも旨そうに食うな）
　そう思い眺める。

「うん、だって美味しい物が食べられるって幸せだもん」
　なまえはにこにこと、実に良い笑顔をした。

「ねぇ、室長と昴は飲みくらべしてんの？　僕も参加するー」
「でもな、牛乳がもう無いんや。ミルク割りがええんやったら、コンビニで買うて来るか？」
「そうかぁ。ミルク、もう全部飲んじゃったかぁ。うーん、わざわざ行くのも悪いよ。いいよ。僕、氷入れて日本酒にするぅ」
「え？　アンタ、日本酒をロックで飲むの？」
「ん？　ロック、美味いですよ。僕は好きです。あと日本酒にライムを５：１で加えて、サムライロックなんて飲み方もあるらしいですよ」
「へえーアンタそういう事、よく知ってるわね」
「なあに？　何の話？」
　そこへ、小野瀬さんがやって来た。前に如月が言ってたが、本当に彼は隠れ捜査室メンバーみたいだ。

「あれ？　小野瀬。お前来たのか。遅いから無理なのかと思った」
「今、来たとこ。で、何盛り上がってたの？」
「ああ、日本酒にライム入れた飲み方をサムライロックって言うんだと。まあ、下戸のお前には関係ねえ話だな」
　酒飲みそうな感じなのに、ちょっと意外だ。

「下戸？　小野瀬さんはやらないんですか？　そうは見えないですね」
　思わずオレがそうに口にすると、室長がちょっとからかい気味に言う。

「コイツは飲めないんだが、バーとかそういう店は好きなんだよ。変なヤツなんだ。なっ？　小野瀬」
「良いだろう。雰囲気が好きなんだよ。おチビちゃん、こんなうわばみと飲んでて大丈夫？　まあ、酔ったら俺が介抱してあげるけど」