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「なあ、真山、前から思っていたが。お前、心のどっかで、自分がいなくなっても[どってことはない]とか思ってねえか? お前の暴走は、俺にはそう見える」「えっ? そ、それは……」「……図星か」「…………」 室長から目を逸らし押し黙るなまえ。「なあ、真山、本当にそう思うか? 確かにお前の家族は酷えが……。お前には他に、何もないのか?」「…………」 室長が問うが、目を逸らしたまま口をへの字に結び、答えない。「まだ分からねえのか! だからお前はアホチビなんだよ!」 そんななまえに怒鳴り叱った後で、深くため息をつく室長。「さっき、俺がお前の立場だったら、どうするかって聞いたな?」 俯きどこか虚ろな目をして黙っているなまえの頬を掴み、顔を上げさせて目を見ながら更に問う。「じゃあ、お前はどうだ? あれがお前でなく、一柳だったら? 目の前で怪我をして危ない目に遭うのが、相棒の一柳だったら? お前は、どう思う? 他のメンバーならどうだ? 藤守や如月、小笠原、俺や明智、小野瀬だったら? どうなんだ! 逃げてねえで、そのアホ頭でしっかり考えろ!」 そう言って頬を放した室長の言葉にショックを受け、なまえの顔がみるみる内に青ざめた。まるで自分が傷を負ったかのように、痛そうに顔を歪めている。「置き換えて考えてみろ。お前の目前で仲間が傷付き、それを止められなかったらお前はどう感じるんだ? 平気か?」 追い討ちを掛けるような室長の言葉に、なまえは唇を噛みしめて俯いたが、堪え切れずポロポロと涙を溢し始め途切れ途切れに言葉を押し出した。「……へ、平気じゃありません……。そんなの、嫌……です……堪えられない」「その、嫌で堪えられない思いを、お前はみんなにさせてんだぞ? よく考えろ」 言いながら、ティッシュケースを放る室長。なまえはティッシュで顔を拭くと、室長に『……考えが足らず、すみませんでした』と頭を下げた。そして、みんなの方を振り向き『ごめんなさい』と深く頭を下げ謝った。 その姿が痛々しくて見ていられない気持ちになる。みんな『分かれば良いんだから』『もう大丈夫だよな、チビ』等と口々に声を掛け、慰めるように彼女の頭を撫でた。 そうされればされる程込み上げるのか、顔を上げられないようだ。なまえは、肩を震わせ声を出さずに泣いていた。 それを見て(なんて泣き方しやがるんだ)と胸がつまり、自然に身体が動いた。オレは、なまえを胸の中に抱き寄せて、あやすように背中を叩き言った。「おい、なまえ。泣く時は声出して泣け。泣き声まで我慢すんじゃねーよ」 なまえは、その言葉に堰を切ったように泣き出してオレの腕の中で『ごめんなさい』を繰り返し子供のように声を上げて泣き続けた。 慰めながら目の端で、どこかホッとしたような顔で見守るみんなの顔を見て(なまえは、みんなに愛されてるな)と心の片隅で思っていた。
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