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「じゃあさ、このまま俺の方を見て『葵、可愛いって言って』って恋人にするみたいに甘えておねだりしてごらん。可愛くおねだり出来たら合格にしてあげる」「小野瀬! てめー! いい加減に──」「なあに? 穂積。俺は、アピールタイムにみんなと同じようにお願いを聞いてもらってるだけだけど? お前も、みんなもしてもらったよね?」「ああ゛? だからって、小野瀬。てめーのはやり過ぎだろーが!」「あー穂積、良いの? 邪魔するとさっきの言うよ? 心配しなくても、これ以上はしないから。早く終わらせた方が良いんじゃない?」「なんだと? 小野瀬、もういっぺん言ってみろ!」「ちょ、ちょっと室長、落ち着いて下さい!」「ボス、落ち着いて! 小野瀬さん、アンタもやり過ぎだ」「明らかにセクハラ!」「そうですよ! 小野瀬さん。俺達のチビに何するんですかーっ!」 場に漂う一触即発な雰囲気に赤かった顔が今度は青ざめる。(……あ、いけない。このままじゃ喧嘩になっちゃうよ!)「あ、あの! だ、だ、大丈夫。僕、大丈夫です……。い、言いますから。喧嘩しないで! お願い!」 そう言うと、室長は『チッ! クソッ!』と腹立たしげにそっぽを向いたけど、こらえてくれた。(僕の事情を知ってるから、な。室長は……) ──後ろからも同じように、舌打ちが聞こえた。少しだけ視線を動かすと、隣に座る一柳さんの足が視野に入った。一柳さんは膝の上で白くなるほどぐっと拳を握りしめてた。(ああ……。そうだ。一柳さんには、まだなんとなくで詳しい事情までは話してないけど。揉めんのは嫌って彼に言ったんだよね。争い事が嫌で、特に仲間内でやられんのが一番嫌だって僕が言ったのを一柳さんは、きっと覚えてくれてたんだな。……ありがと、ふたりとも。これは、恥ずかしいなんて気にしてる場合じゃないな)「さあ、言ってごらん」 促され、頑張ろうと思うけど、顔が熱くなって来る。(頑張れ。僕。小野瀬さんだってからかってるだけなんだし言わなきゃ)「あ、葵さん? 可愛いって言って?」「ふふ、ほっぺが真っ赤だよ。食べちゃいたくなるね」 小野瀬さんの長いきれいな指が僕の頬を撫でてく。心臓がバクバクとしてくる。「葵……言って? 」 催促するようにもう一度言うと、顎を持ち上げられ小野瀬の顔が触れそうな程に近付く。僕は、こらえられなくなって思わず、目を閉じた。涙目だったせいで閉じた拍子に涙の粒がぷくっと目のふちにたまる。
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