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隣に移動すると、藤守さんが何か言いたげにちらちらと見て来る。「ん? どうしたの? 藤守さん」「あの、お願い聞いてくれへん?」「いいよ。何?」 少し赤らみ言い難そうに口ごもる藤守さんを見てたら、何かスゴい事だったらどうしようと僕まで緊張して来てしまう。ドキドキしながら、次の言葉を待った。「えーと……ですね。藤守さんじゃなくて[賢ちゃん]って呼んでくれへん?」「あ、うん。分かった。賢ちゃん」「あのぉ……出来たらくるっと回って[賢ちゃんどう?]って、可愛らしぃ聞いてくれへんかなー?」『いいよ』と答えようとしかけたところで、室長が呆れ気味に口を開く。「出た。お前は、中学生のガキか」「え、ええですやん。僕かて、女の子に可愛らしく言われてみたいんです!」 拗ねたような顔で反論をする藤守さん。この二人は仲が良い。捜査室開設時に室長が一番最初に引っ張ったのも、藤守さんだ。僕がまだ警察官になる前、学生の頃に起きたある事件を介して藤守さんと出会ったのはそれよりも、もう少し前。そして、捜査室に異動した藤守さんが『おもろいヤツがおるんですわ』と話をしたのがきっかけで、室長は僕に興味を持ったらしい。僕が警察官になって今の捜査室に来るきっかけは、藤守さんから始まっていると言っても過言ではないかも知れず……。(いわば恩人? みたいなもんだな) 二人を眺めつつ、思った。「やっぱり……ダ、ダメやろか?」 藤守さんが遠慮がちに聞いて来る。ずいぶんと緊張しているようだ。その緊張ぶりがなんとなく可愛らしく、思わずくすっと笑ってしまった。「そんなに緊張しなくても。その位、お安いご用だよ。それは良いんだけど、可愛くかぁ……」『んー』と暫し考え思い出す。(そういえば……。一緒に組んでた時に何かの話題で、藤守さんが『チビもやってみたらええやん。そないやられたらあかんわ。イチコロや。きっともうめっちゃ可愛いで? 多分、かわい過ぎで心臓が爆発する思うわ。理想やな』と言っていたのがあった。とりあえずそれ、やってみよ) 彼の[可愛く]という要望を叶えるために、にっこり微笑んでくるりと回って見せた。小首を傾げちょっと甘えた風に上目遣いで聞いてみる。「賢ちゃん、どう? 似合う? 可愛い?」「…………」
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