ツカツカとなまえの前に来ると、品定めでもするかのように不躾な視線で全身を眺め回した。
??:貴女、真山なまえさん?
なまえ:はい、自分が真山ですが。
??:貴女、女性よね?
なまえ:はぁ…そうですが。
??:まあ、昴さんったら、案外趣味がお悪いのね。クスッ。申し遅れました。わたくし、一柳昴の婚約者の西園寺紫織と申します。
一同:こ、婚約者!?
紫織:あら?こんな所で立ってお話するおつもり? 貴女のような方はそれが普通なのかしら?
なまえ:…こちらへどうぞ。
来客用の応接スペースに案内する。
紫織:わたくし、喉が渇きましたわ。お紅茶いただけるかしら?
「あっ」と言ってなまえが掛けたばかりの腰を上げる。 明智がそれを制して、「良いよ。俺が淹れて来よう」と給湯室に行く。
紫織がもの珍しそうに室内を見回す。
しばらくの沈黙の後、
紫織:……なまえさん、貴女、昴さんと別れて下さらない?慰謝料はきちんとご用意するわ。
明智が紅茶を出す。
紫織:昴さんは貴女を愛人にしたいそうなの。でもわたくしは、出来たら貴女に身を引いて欲しいわ。
貴女のような野良猫にうろちょろされては目障りですもの。
藤守・如月:あ、愛人!?
穂積:…愛人にね……。
なまえ:野良猫、ですか…。
紫織:貴女、子供の頃は公園に、それこそ住みかのように入り浸っていたのでしょう?…野良猫のように。それとも捨て猫かしら。クスッ。
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