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● ○ ● ○(何だったの? あれ……。やっぱり僕、室長にからかわれたの? あーまだドキドキする) 忙しく鼓動を打つ胸の前に手をあて落ち着く為に小さく深呼吸した。(ああいうシチュエーションって苦手だ) なかなか落ち着かない心で考えていると『あれ? なんかチビ、顔赤くない?』ふいに掛けられた如月さんの言葉に、ギクッとした。そうだった。如月さんは、こういうのに妙に感が鋭いのだ。僕は内心焦りながら何とか切り抜けようと言葉を探す。「え? そ、それは普段こんな格好しないから……は、恥ずかしくて。き、気にしないで下さい」「ふーんー」 何だろ。なんだか如月さんも、いつもと違う。何となく悪い顔? してるような……気がする。ちょっぴり警戒しておく。「どうしたの? チビ」「いえ。ど、どうですか? 如月さん、可愛い?」 如月さんはそれには答えずゆっくりと品定めするように、上から下に僕を見た。そしていきなり、僕の腰を両側から掴んだ。「はぁー? へっ?」 そんな行動に出るとは考えてもいなかった僕は思わず、すっとんきょうな声を上げ頭の中で叫んだ。(何? 何? 腰、掴まれたーっ!?) そんな言葉がぐるぐると渦巻きパニックになって、もう訳が分からなくなり唖然としてしまった。如月さんは、その気抜けてぽかーんとする様を見て、楽しむようにクスリと笑った。そして僕の腰をひと撫ですると、そのままぐっと掴んで自分の方へ引き寄せた。「君って案外ウエスト細いんだねぇ」(ひぃー! 近い! 何、これー! こんな展開困るーっ!) 悲鳴を上げそうになり慌てて口を押さえたが、はっきり言って泣きたい心境だ。「あ、あの……は、離して」 辛うじて声を絞り出す。「あれー? そんな顔されると、いじめたくなるなあ」 あろうことか、僕の顎を持ち上げて妖しい顔で如月さんが迫って来る。(嘘でしょ!? 近過ぎ! 恥ずかしい! ってか、このままじゃキスされるぅ! いやー! 手、離してー! もー冗談キツい。これが痴漢なら、迷わず金蹴り。でもぉまさか職場の先輩にやる訳にも行かないよー) 内心でギャーギャー叫びまくり、羞恥心に顔が火照る。僕は如月さんを、なんとか避けるように顔を反らし目を伏せた。(うぅー。誰か、助けてー!) すると、僕の声にならない叫びが聞こえたとでもいうように、如月さんの後ろにどす黒オーラを感じ“ボキボキ"と指を鳴らす音が聞こえた。 これは、室長が怒った時の[悪魔降臨]の合図だ。いつもは怖い悪魔の登場が、今は救世主登場のように感じる。まさに地獄に仏。僕が、こうして困ってると察して助けてくれる室長は、頼りになる男だ。マジ感謝。「きーさーらーぎーぃ。シャンプーしてあげるわー」「ギャー! 抜けるー! 頭はやめてー」 室長は如月さんの頭を、脇で挟むとギリギリと締め上げる。(わ……ヘッドロックだ。如月さん、御愁傷様。でも自業自得かな?)
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