その頃 都内 某一流ホテル
昴が不機嫌な顔でラウンジを横切り叔母の待つレストランへ向かう。
(昴:こんな所に一体なんの用だ…ったく、面倒だな。)
レストランに入ると個室に通され、嫌な予感がしてますますうんざりしてくる。引きつりそうになるのをこらえ、作り笑顔を貼り付けて
昴:叔母さま、ご無沙汰しております。
叔母:昴さん、お元気そうね。まあ、お掛けなさい。
昴:はい、失礼します。
ウェイターが紅茶の用意をして入って来る。
叔母:あなたもお紅茶でよろしいわね?
昴:はい。
昴の前にティーポットからいれられた紅茶が置かれ、ウェイターが一礼すると静かに出て行く。
しばらくの沈黙の後、叔母がテーブルの上に数枚の写真を置きながら
叔母:わたくしの会社に届いたのよ。ネットにも何か、出回ってるようね。
そう言って、静かに紅茶を飲む。
写真を手に取り見れば、あの運動会の写真や 警視庁付近、マンション前や駐車場でのなまえと昴の隠し撮り写真である。
さらに叔母がA4の封筒を取り出し、中身を封筒に重ね、テーブルの上に置くと、昴に差し出す。
叔母:そこに写ってるお嬢さんの事、調べさせていただいたわ。
一番上に来客の応対に出たであろうなまえが昴の部屋のドアを開けて、驚いた顔した写真がある。
(昴:これ、宅配便を装った奴が来た時? …調査会社の奴だったのか、なるほどな…。)
ざっと目を通すとなまえの生い立ちから現在に至るまでが書かれている。
叔母:昴さん、いつものように遊びなら何も言う事はないわ。…ただ、今回のお嬢さんとは一緒に住んでいるのね。言わなくても分かっていると思うけれど……。
叔母:そのお嬢さんは、一柳家に相応しくありません。
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