穂積:さぁー、アンタ達、演舞の時間よ。応援でもポイント稼いで、このまま勝ち逃げるわよ。
一同:おーっ!
穂積:声出してビシッとキメるわよ。いいわね。気合い入れなさい。
一同:ウッス!!
アナウンス:只今より応援合戦を始めます──。
穂積の声が響く。
穂積の台詞に合わせ
『白組』と書かれたデカイ和紙を藤守と昴がピンと張ると
赤い鉢巻き、赤い特攻服を纏った
なまえが後ろから助走を付け、ヤァーと掛け声と共に飛び蹴りで蹴破る。
拍手と歓声が赤組から上がる中、配置に付き始めのポーズをとる。
一瞬の静寂の後、音楽が流れると静から動へ移行し舞い踊る。
練習の成果もあり、動きが揃い見る者の目を奪う。
加えて、「ソイヤ、ソイヤ、ソイヤ、ソイヤ」と張り上げる声も演舞に迫力を与える。
長めの赤い鉢巻きをキリリと巻き、上半身、更級姿のイケメン達と特攻服をビシッとキメた
なまえが舞い踊る姿に、
グラウンドのあちらこちらから
「キャー」「ステキー」「泪さまー」「葵さまー」「昴さまー」「
なまえちゃーん」「賢史くーん」「諒くーん」「公平くーん」とそれぞれのファンが悲鳴に近い黄色い声を上げ、さながらアイドルグループのコンサート会場のように湧き上がった。
そればかりか、白組からも我慢出来なくなった女子が殺到し、果ては
なまえ目当ての男性陣まで親衛隊よろしく、声を張り上げる始末。
黒澤はここぞとばかり、写真を撮りまくり…
その写真に目をつけた広報が運動会後に、写真集ばりの庁内報・臨時特集号を発刊し大好評になった。
そして、勝敗は─
応援合戦は赤組に軍配が上がり
その後の競技も、応援合戦騒動で戦意を喪失した白組に赤組は勝ち、結局、運動会は赤組圧勝となった。
赤組優勝は喜ばしい事だったが
特捜応援団の予想以上の反響に上層部から宣伝活動目的のメディア出演のオファーまで来てしまい、特捜+小野瀬は暫くの間非常に頭を悩ませる事になる。
そして、これが思わぬ所で新たな騒動の火種になろうしている事は知る由もなかった──。
10。に続く。
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