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● ○ ● ○ 俺は小野瀬達が見ている事に、全く気付かずにいた。気付くどころかチビ助のマッサージに気持ち良くなり、心から癒やされていた。ほんの束の間、職場であることすら忘れてしまっていた。(ああー気持ち良い……。癒される。こんな安らいだ気持ち、久々だ。はぁ……)「室長、やっぱりお疲れですね。肩、凝ってますよ」「ああ。本当に気持ち良いぞ」「あー室長、ズルい。チビに肩揉ませてるー!」「あ、ほんまや。いつの間に……。室長、準備OKです」 癒しの時間をぶち壊すように、わめく如月にチッ! と舌打ちしたい気分になった。「あら如月、アンタも揉んであげましょうか? 頭を!」「いえ、遠慮します!」 ブルッと身震いしながら後退る如月に少し脅かし過ぎたかと思うが、やっぱり追っ払う。「いいから、早く座れ!」 慌てて着席するメンバーをチラリと見てから、チビ助に礼を言った。「しかし、お前。肩揉み本当に上手いな。すごく気持ち良かったぞ。肩揉み係として家に連れて帰りたい位だ」「ふふ。そうでしょ? 肩揉みは自信があるんです。また、疲れたらいつでも声掛けて下さいね」 ふわりと笑うチビ助。(俺がこいつの上司でなきゃ、な……) さっき打ち消した思考がムクムクと蘇り、チビ助を構いたくなった。俺は『ああ、ありがとう』と何食わぬ顔で、他のヤツ等から見えない奥側の肩にのるチビ助の手を握った。 突然の事にビクッとするチビ助。くりくりした黒い愛らしい瞳がうろうろと忙しく動く。(動揺してるな。今時のガキにしちゃ、案外と男慣れしてねえんだな。でもな、そういう態度は逆効果なんだよ……フッ、赤くなりやがった。頬染めて上目遣いなんて。全く、危ねえガキだ。そんなに可愛く煽ると本当に……食っちまうぞ) 困ったような顔をして俺を上目遣いに見てから、赤くなった頬を隠すように俯いて、また俺をちらちらと覗き見るチビ助と目が合う。俺はそれが合図とでもいうかのように、掴んでいた手を僅かに引いた。小さく倒れ込んだチビ助の耳元で囁く。「そんな可愛い顔してっと襲うぞ」 ますます赤くなるチビ助に、ニヤリと笑う。 戸惑ったチビ助が可愛くて、もう少し構いたくなった。が、そうも行かない。俺は気持ちを切り替え、室長の顔に戻って何事もなかったようにチビ助の頭をワシワシと撫でて、いつもの口調で言う。「もー肩揉みなんて。本当に孝行娘ね。しょうがない、私の判定は合格にしてあげるわー。さあ、次、行ってらっしゃい」 そうしてチビ助の背を、そっと隣の如月の前へと押した。
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