1ー2。
──変身──
● ○ ● ○
あれから暫く後で、オレはまたみんなと一緒に会議室前に来ていた。
「遅いっ! いつまで掛かるのかしら。チビ助ー、まだなのー?」
室長が痺れを切らし始めた。藤守が『まあ、まあ』となだめる。
すると、会議室からひょいときよが、顔を覗かせ室長をみとめると駆け寄って来てあいさつをした。
「穂積さん、お疲れさまです」
「あら、きよ。いつもうちの子が、世話掛けるわねえ」
「いえ。とんでもありません」
続いて藤守が、きよに話し掛けた。
「よお、きよ。来とったんか? 元気やったか?」
「はい。藤守さんもお元気そうで。ちょっと待ってて下さいね」
きよが、会議室の中に向かって声を掛ける。
「国枝さん、みなさんが到着されました。お通しして大丈夫ですか?」
「ああ、準備OKだ」
中から国枝の返事が返り、きよに促され会議室にぞろぞろと連なる。
入り口で中を見て、
真山の予想以上──いや、予想外の変身っぷりにオレ達は、ぽかーんと立ち尽くす。見慣れない可愛い相棒の姿に、オレも柄にもなく妙に焦りドキドキとした。
(なっ、カ、カワイイじゃねーか。……本当に
真山か?)
今までこんな経験はない。前にも
結菜を可愛いと思った事はあるが、焦りはしなかった。
「あ、みなさん。お待たせしてごめんなさい」
オレ達に、にこっと微笑み話し掛ける。笑顔の
真山が愛らしくキラキラして見え、その声もいつもより高目に柔らかく響き微かに甘さを含んでいて……オレはますますドキドキし顔が火照ってしまうのを感じた。
「チビがっ、ちゃんと女に見えるー!」
皆も驚きの声をあげる。
その様子を少し離れて見ていた国枝達が『大丈夫そうだな』と小さく頷き合い、帰り支度を始める。
ミイコがコソッと寄って来て『
真山さんをよろしく頼んます!』と言ってニカッと笑った。『ああ』と答えていると
真山が『何? 内緒の話?』と寄って来た。
「なんスかー?
真山さん、もしかしてヤキモチ? 可愛いー!」
「何だよ。またからかってー」
「もー心配しなくても良いスよ。自分は
真山さん一筋ッス」
「え? 僕一筋? ミイコ。僕は一応女だぞー。ヘンだろー。ふふ」