合宿も終わり、
なまえを連れ数日ぶりに診察に来た。
点滴が終わるのを待っていると
阿久津先生がオレに話し掛けた。
阿久津:彼女、疲れているようね。
なまえ君の事だから…合宿、頑張っちゃったのかな。
阿久津:いつもアクティブな
なまえ君だけど…一足早く芸術の秋を楽しむのも良いかも知れないわ。
阿久津:昴君、カウンセリングでも用いられる心理療法に芸術療法(アートセラピー)っていうのがあるのよ。別に、難しい事じゃないの。
阿久津:絵を描いたり、粘土で何か作ったり、音楽…、カラオケでも良いし、お料理でも良い…。楽しみながら自己表現をするって方法なの。
阿久津:貴方も気を張ってばかりじゃ疲れてしまうし、
なまえ君と一緒に何かやってみたらどうかしら?
そう薦められ、ニ人で何かやってみる事にした。
蚊帳の中でも出来る手芸はどうだろうかと、ニ人で大型手芸店に行く。
なまえはビーズで出来た動物や粘土で出来たミニチュアに興味を示した。
見ると案外可愛い…ので、レシピ本と道具と材料を買って帰り早速始める。
くま好きな
なまえはビーズのテディベアを、オレはうさぎを作る。やってみたら楽しくてニ人でハマった。
ビーズや紙粘土で動物達を作りそれに合わせてミニチュアの家具や料理を作った。
作品が出来るとリビングの棚やTVの上、玄関、ベッドサイド…色んな所に飾り眺めた。
そうしてニ人で過ごす時間は楽しく穏やかだった。
なまえにも自然と笑顔が増え次第に口数も増えて行き、夏の終わりには元気を取り戻した。
なまえの提案でみんなに感謝の印として、それぞれに合うイメージで作品を作りプレゼントする事にした。
みんなの顔を浮かべながらあの人はこんなイメージだからこうしよう…などと相談しながら一つずつ作って行った。
「喜んでくれると良いね」と楽しそうに笑いながら、小さな透明なケースに入れたそれぞれの作品をラッピングする
なまえ。
そんな情景が嬉しくて
「ああ。そうだな。」と返しながら顔がほころぶ。
(昴:こういうのが幸せっていうんだろうな。コイツとずっとこうやって生きて行きてーな…。)
5。に続く。
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