ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「し? 仕事は行かせねーぞ。当たり前だろう。なんだ? もしかして、駄々をこねるつもり? それならそれで、引っ担いで連れて帰るだけだけど? そうされたい? ご希望なら、そうするぞ? なまえちゃん。どうするんだ? ああ?」「え? あはは……す、昴? なんか怖いよ? 怖いオーラが、メラメラしてる気がするんですけどぉ……」「うん? 怖いか。だろうなあ。オレの可愛い連れ合いが、このところちょっとおばかちゃんになっちまって、あまりにも無茶ばっかりするんでな。さすがにオレもちょっと厳しくしようかと思ったところなんだ。……さて、堀崎。なまえが色々と世話を掛けて、すまなかったな。後はオレが引き受けるから安心してくれ。あれだぞ? こういうのは悪い見本だから。くれぐれもうちのおばかちゃんの真似をして、お前は無茶しないでくれよな」 むぅーっと彼女が拗ねる。堀崎が『旦那さんが来てくれて良かった。じゃあ、お大事に』と帰って行った。まだ、ぷーっと膨れる彼女。「んー? なまえ。そんなに膨れるとタコみたいだぞ。ふふ、うちの姫は海月姫じゃなくてタコ姫だな」「タコ姫ぇー? やだそんなの! かわいくない」『そうか?』とまだちょっと膨れてるほっぺたをツンツンとして笑い、ちょっと屈んで耳元で 「かわいいぞ? タコでも海月でもおばかちゃん姫でも。オレの姫は宇宙一、可愛いよ」 と、耳たぶにチュッと素早くキスして離れた。 彼女は耳まで赤くして『もぅ!』と照れ隠しにパシッと緩くオレを叩き、スタスタ歩き出した。そんな彼女が可愛くて、もう一度クスッと笑い彼女の後を追った。 ● ○ ● ○ 帰りの車の中『むぅー、仕事あるのにぃー。堀ちゃんだけじゃさー』とまだぶちぶち言う心配顔の彼女。信号で止まり横を見れば彼女は八の字眉にちょこっと唇を尖らせて、思案顔。そんな彼女らしさも愛おしく感じて目を細めた。彼女の名を呼んで、こちらを向いた時に少し尖った唇にちゅっとキスをする。髪を撫で抱きしめたい気持ちを抑え、聞いた。「痛む? 思ったよりひどいケガじゃなくて良かったよ。心配したぞ?」「ん……ごめんなさい。ねぇ、仕事戻ったら?」「うん? オレもほとんど休暇取ってなかったんだ。こういう時に……お前になんかあった時くらい、傍にいてやりたいからな。たまってる分、今日に振り替えてもらった。今大きい*ヤマもないしな」 それから三日間、問答無用で休ませた。詳しくは知らないがその間、室長が川原をかなり揺さぶったらしく、川原から彼女に『頼むから無理をしないで静養してくれ』と連絡があった。「川原、すっかりビビっちゃてるよ。はぁあぁー。あれはたぶん、また一柳のお義父さんネタでおどかされたな」 浮かない顔の彼女。一柳のお義父さんネタを使うのは卑怯と思っている彼女なら、こうなるだろうとは思う。思うが……こうでもしない限り彼女はきっと、壊れるまで無茶し続けるだろう。そんなことになるより卑怯な方がまだいい。きっと室長もそう思ってるに違いねー。だからそれには触れず、オレは少しでも彼女の気が晴れるように、全力を尽くすことにする。先ずは、話題を変えよう。それから、たわいもない会話をしつつ、車を走らせ帰宅した。 家に着いてからも、おしゃべりは途切れない。たとえばそれが、たわいもない話だとしても彼女と話す時間は楽しい。彼女の声や時折り見せる笑顔に、心が安らぎ穏やかになっていく。*ヤマ=事件
このサイトの読者登録を行います。 読者登録すると、このユーザーの更新履歴に新しい投稿があったとき、登録したアドレスにメールで通知が送られます。