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彼女に帰り支度をするように促して、川原の元に行った。正直言って、こいつに良い印象はない。丁重に言葉を選ぶが、愛想は良くとは行かない風で挨拶をした。なまえは未だに職場では旧姓の真山を名乗っている。だからオレ達のことを知らない奴も結構いる。だが、上司なら部下の家族構成くらいは普通把握していそうなものだ。受話器を持ったまま呆然としていたこいつは、オレが一柳と名乗ると『えっ? 一柳? では総監のご子息の……?』と阿呆面で聞いて来た。頷きそれには、あえて触れずに『妻がお世話になっております』と頭を下げた。途端にあわあわと焦りまくっているところを見ると、こいつはなまえの履歴も何もよく見ていなかったらしい。(推測するに、受話器を呆けて持っていたのは室長が、そこら辺を匂わせてこいつがビビるようなことを言ったんではないかと思う。ビビらせるつもりだったから、オレに一緒に行けと言ったんだろう。一柳のことを聞いたところへ、オレが現れた。室長の脅しは、効果絶大な威力を発揮したというワケだ。自分の出世の為には、部下を替えのきく駒のひとつのように扱う奴だ。いい薬になるかもな。反省するだけのまともな人間性と頭があればの話だが。まあ、オレの大事な女房を、ぞんざいに扱うこいつのことなんか、知ったことじゃない。話を切り出すにはいいタイミングだ。少々卑怯な手ではあるが、背に腹は代えられない。彼女には休みが必要だ。壊れる前に、手を打たなくてはな) 交渉して、彼女の溜まった休暇の一部を取れるようにした。「そ、それはもちろんです。真山くん、ちょっといいですか?」 呼ばれ怪訝な顔をしたが、こちらにすぐやって来た。「はい。何でしょうか?」「きみ、聞いたよ。今日すごい働きだったそうじゃないか。あちらの室長さんが褒めてらした。私も、きみが優秀だからつい頼りにしてしまうんだが。ところで、堀崎くんときみは休暇をここしばらく取っていないね。済まなかったね。どうだろう。事件も解決したことだし、たまった休暇を取っては? ね、そうしなさい。ああ、堀崎くん。きみもおつかれさま。堀崎くんも明日からたまった休暇を消化しなさい。真山くんも堀崎くんも今日はもうあがって」 こうして、休暇も取れちょっと気持ち悪いごますり顔に送り出されて、みんなの待つ捜査室に向かった。
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