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彼女は『先に、今回の事件からご説明させてもらいます。見てもらうのが一番把握しやすいと思うので』とプロジェクターを使って今回のヤマの概要を説明し始めた。スクリーンに一軒の住宅の外観が映し出される。昨日は暗くてあまり分からなかったが、綺麗に手入れされた花壇に子供用の小さな自転車とママチャリや外遊びに使うおもちゃなどがあり車も駐車されていて、幸せな家族の暮らしを象徴してるように見える。「被害者は────」 彼女の説明に寄ると二世帯住宅で、夫婦と同居してた妻の親夫婦が殺害されているそうだ。殺害はかなり残忍な方法で行われており、まるでコロシを楽しんでいるかのようだと現場に急行した際に感じたらしい。「これから、殺害現場を映しますが……今まで見た中で一番凄惨で目をそむけたくなる有り様でした。そのつもりで心積もりをしておいてください」 その言葉に、小笠原が聞いた。「そんなにひどいの?」「ひ、ひどいです……」 堀崎がブルっと身を震わせながら答えた。思い出したのか、ちょっと青ざめてた。「堀ちゃん、大丈夫? 今は、無理しなくていいぞ? あっちのソファー借りてちょっと座って茶でも飲んで休んでろ」「でも……」「ここは大丈夫だよ。な? 大丈夫だから。こっちは任せな。真っ青だぞ? ここでぶっ倒れるとな、堀ちゃんはにょきにょきでっかいから、チビの僕には重くて運ぶのが大変なの。それだと、僕はこーんな細腕なのにさぁ、かわいそうだろ? 先輩孝行だと思って素直に聞いとけ。な? 穂積室長、よろしいですか?」「いいわよ。ソファー使っていいから堀崎、休んできなさい」 ぺこぺこ恐縮しながら、堀崎がソファーに向かう。見送ってから彼女が続けた。「えーっと、現場はかなり凄惨です。そうですねぇ……分かりやすくたとえるなら悪趣味なホラー映画、ですかね。血の匂いが充満して、そこら中血だらけ。遺体の状態もひどいもんです。とにかく、そのつもりでいてください」 映し出された室内は、彼女が言うようにあちこち血が飛び散っていた。「遺体は損壊されています」 遺体の状況を説明する彼女は無表情で淡々としていて、その様子からは感情というものが感じられなかった。まるで無機質で冷たい機械みたいだった。そうすることで心を守っているのかも知れない。『一階は親夫婦が居住していたようですが、妻の文枝さんはキッチンとリビングルームの間で、夫の武男さんは二階の居住区へ繋がる扉の前で発見されました。親夫婦は────』彼女が、淡々とした声で説明していく。さきの説明通りに現場はかなりな状態だったようだ。昨夜の現場が脳裏に思い出される。『遺体の状態で共通していることですが、四人とも──(中略)──なお、現場からは発見されていません』説明が終わった頃には小笠原の顔が青くなっていた。「戦利品として持ち帰ったのかしら」 室長がスクリーンを見ながら呟く。「昨夜、隠し部屋に逃げ込んで助かった二名を救出でき、都内の救急病院に搬送しました。目撃者が生きていたと分かれば、犯人の襲撃を受ける可能性も否定出来ませんので、現在は警備を二名配備しています」
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