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「……怖かった。あそこが、あの小屋に見えた……あの二人が……あの時の、ばーちゃんと僕に見えた。怖くて怖くて……」「頑張ったな。なまえ」 青ざめ汗を流し震える彼女。汗を拭い、震える身体を抱きしめた。「もう、大丈夫だ」「……すぅ。少し、疲れたよ…………」 ぽそっと言ってぐったりと力が彼女から抜けた。ひどく疲れた顔をしている。「このまま、家に帰宅ってワケには──行かねーか」 オレの言葉に、フッと口元をゆるめた。「ふふ。うん、よく分かってるね、すぅは。そういう訳には、行かないよー。銃も戻さないとだしねー。ヘタレたこと言ってないでしっかりしないとな。さて、戻らなくちゃ。みんなは? タクシー呼ぶ?」「いや、一緒に行くよ」「ああ、ここまでくっついて来たんだ。お父さん達は最後まで付き合うぞ」「だね。おチビちゃん、俺が運転するよ。着くまでのわずかな時間でも、お姫さまは後ろでお休みください」「チビ助、運転は小野瀬に任せて少し寝ろ」 警視庁に向かう。もたれさせるようにして抱きとめると走り出してすぐに、彼女は眠ってしまった。最近の彼女の寝顔は、疲れ切った顔だったり、眉間にしわがよっていたりで以前のようにおだやかなあどけない顔をしていない。「寝た?」 運転しながら小野瀬さんが聞く。助手席の室長が振り返り『ああ』と返す。「眉間にしわよせたまま、しんどそうな顔して寝てやがる」「実際、しんどいんだろう。そういえば、頬は大丈夫?」「あーそういえば、ガツーンといってたな。全く、あんなに思いっきり叩くか? じゃじゃ馬でも一応、女なんだから顔が腫れ上がったら困るだろうが」「それだけ気合入れないと、動けなかったんだろう。さっき言ってたろう。フラッシュバックで怖かったって。その状態で、救助出来たってすごいと思うけど」「そんなにか?」「うーん、そうなんじゃないかと思うよ。俺も医者じゃないから詳しくは言えないけどね」「頑張りましたよ。なまえは。えらかったです」「だな。俺もチビ助が頑張ってるのは分かった。無理し過ぎなくらいな……」 捜査室で彼女のあがりを待ち小野瀬さんの運転で帰宅したのはかなり遅い時間になってしまい、二人には泊まってもらった。相棒の堀崎から連絡もあった。被害者は二人とも無事。念のため入院したようだ。警備を応援に来た制服組に頼み相棒にも帰宅するように言った。二人は事件発生からぶっ通しで任務についていた。休息も必要だ。「あー、シャツに血ついてた。みんなも付いたんじゃない?」 彼女の言葉に室長と小野瀬さんがシャツを見るとやっぱり付いてた。「あーあ、お高そうなシャツなのに。じゃあ僕がプレゼントする。なんかこだわりある? じゃあ、二人に似合いそうなの選んであとでお届けするね」 久しぶりふんわりと無邪気に笑った。三人は約束をした。交替でシャワーを済まし、風呂から出て来た室長に缶ビールを小野瀬さんにはジュースを出し『お疲れ様の乾杯しよう』と言う彼女とみんなで乾杯をした。「ありがとう! おつかれさまでした! すぅ、おめでとー!」 笑う顔が明るかった。被害者を助けられたことが、いい影響になったのかも知れない。缶ビールを半分も飲まない内にウトウトし始めた。しきりに『なんか前みたく美味しいもの食べたり、どっか行ったりさー、みんなで楽しいことしたいねー』と言いながら眠ってしまった。
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