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「っ!」 中を見て彼女が、息をのんだ。「…………ちきしょー! 負けるか!」 身体の横で手を握りしめ、呟くように言った。そして、いきなり彼女は自分で、自分の顔を殴った。顔を振ると『よっし、大丈夫。落ち着け』と自分に言い聞かせるように、ひとり言をもらした。ギョッとしてる間に、中に進み倒れてる人の救助に掛かった。「おい、きみ! しっかりしろ。赤黒い色、じわじわと染み出てる、ということは静脈からの出血。その場合……傷口を圧迫しての止血。傷を心臓よりも高く……」 手順を確認するように、ブツブツと言って傷口を止血し始め、オレ達の方を振り返った。その顔は青かった。「すみません! 救急車の手配お願いします」 続けてかたわらで、泣く子供に声を掛ける。「お名前は? えりかちゃんか。えりかちゃん、どっか痛い? もう大丈夫だよ。怖かったよね。堀崎! この子お願い」「はい。えりかちゃん、ちょっとお兄ちゃんとこっちに居ようか」「いやー! おばちゃんといるぅー! おばちゃーん、おばちゃーん、うわーーん」 女性に子供がしがみつく。苦痛に顔をしかめながら女性が子供をなだめ諭すが、離れようとしない。「ねぇ、おばちゃんを助けて? 助けて」「……う、うん、助けようね」 ちょっと引きつった笑顔で子供に言うと、女性を励ました。「痛むでしょうが、頑張ってください。もうすぐ救急車が来ます。……この子のためにも頑張って」 女性が頷く。見ていた子供が彼女の手の上に、自分の手を重ねた。重ねられた手を見て、彼女は子供に言った。「そっか、えりかちゃんも手伝ってくれるんだね。一緒におばちゃん助けよう」 すごく、優しい笑顔を向けた。子供も『うん!』と返事を返し、二人で女性を励ましながら救急車を待った。救急隊員がタンカを持ち来ると隊員に女性を頼み、子供を抱き上げると上着の中で抱きくるみ急いで外に連れ出した。子供は現場を見ずに済んだようだ。「先輩、俺が病院へ行きますから。あとで、連絡を入れます」「ああ、すまないが頼む……」 淡々とした表情で救急車を見送った彼女は、フッと崩れた。素早く支え、室長と小野瀬さんと共に大丈夫かと彼女に声を掛ける。オレの腕を掴む彼女の手がガタガタと震えている。
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