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「はーい。零点ー。ダメダメでーす。堀崎くん、らくだーい。あのな、堀ちゃん。お前、今のが刃物持った犯人ならどうすんだ? あれじゃ、刺されてたぞ? 銃ならきっともう死んでる。教えただろ? 機捜の僕らは、たいてい現場に一番乗りするよな。そん時にお前が、そんなでどうするの? たとえば、もしもだけど。保護しなくちゃならない被害者がいて、犯人が隠れてて今みたいに襲って来たら、それで対応出来んのか? もっと気ぃ張って周囲に注意しないと、それじゃお前も被害者もやられちゃうぞ? いつでも僕がカバー出来れば良いが、僕がやられちゃったらどうすんだ? 多少の怪我ならフォロー出来るけどな、即死だったらどうすんだ? 死体の僕には、なーんも出来ねえんだよ? ゾンビみたく復活して闘えないんだぞ? したらそん時は、お前一人で被害者と自分を守んなくっちゃなんねえんだ。先輩がいないと何も出来ませんじゃ困るんだぞ? 分かるか? そういう事態が、絶対に起きないとは言えないんだよ。現場にはもしもの危険があるってこと、常に頭に入れて用心しろ。機捜はそういう仕事だ。それでお前が、無理、やってけないと思うなら異動願いを書け。誰も責めない。もし責めるヤツがいたら僕が黙らせる。僕は堀ちゃんが、お前なりに頑張ってるの知ってるからな。よく知りもしない奴らなんかに、四の五の言わせねえよ。ぶっちゃけちまうと、あのな、機捜だけが全てじゃないんだ。もっと、もーっと尊敬出来るすごい上司も、すごい先輩も、沢山いるんだよ。それを知らないのはもったいないぞ。きっと大事なことをいっぱい学べる。まあ、決めるのはお前だけど。いい機会だからよく考えてみな。いいか? 僕は、お前が死ぬの見るのも、自分が死ぬのも、絶対にごめんだからな。とにかく機捜にいる内は、やせ我慢でもなんでも、気張れ。こういう現場に来る度に、吐きそうになってんなよ? ここの現場来るのだって、もう二回目だぞ? それじゃダメだ。そりゃあさ、こんな悲惨な現場、みんな遠慮したいよ。好きなのはサイコ野郎だけだろう。気持ちは分かるけどな。青くなっても良いから頑張れ。ん? 分かったら腹にグッと力入れて気を張る!」「はい!」「よし、じゃあお小言、終わり。設計図見て隠し部屋に入る入り口探し始めるぞ。そうだ。子供を発見出来たら、脱出の際に周囲を見せないように注意しよう。こんなの見たら、この光景を忘れられなくなる。きっと一生苦しむ。それは出来れば避けたい」 トラウマを抱える彼女の言葉は、どこか憂いを含んでいるように聞こえた。こういう現場は彼女にとって、オレが思うよりずっとつらいんだろうなと感じた。オレ達は、設計図を見て入り口らしきものを見つけた。中から微かに泣き声が聞こえて来る。それからの彼女は、少し焦ってるみたいだった。「は、早く開けてやらないと」「だね。おチビちゃんちょっと落ち着いて」「ああ? 開かねえぞ。これどうやって開けるんだ? チビ助、なんか聞いてるか?」「え? 聞いてません。ドアが見つけ難いとこにあるだけだと思ってたので……すみません。ど、どうしよう」「いや、気にするなチビ助。仕掛けがあるなら、探せばいいんだ」「なまえ、大丈夫だ。開くよ」「先輩、俺設計士に連絡してみます」「う、うん」「おチビちゃん、きっとすぐ見つかる──小説だとこういう所にあったりするよねぇ。あ、あった」 ドアが開くと彼女が駆け込んだ。
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