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「あ? チビ助、一人で行くつもりか」「うん。その方がいいんだ」「いいんだ、じゃねーよ。だいたい何しに行くんだ」「何しにって室長、そりゃあ仕事だよ。浮気に行くわけじゃないよ? ふふ、だから安心してね、すぅ」「お前、ふざけてないで分かるように教えろよ? なまえ。じゃないと、行かさねーからな?」「ええー! イカさないって? こんな時まで焦らしプレイなのぉ? イヤーン、ダーリンたらぁ」「お前、そのイカさないじゃねーよっ! からかってんなよ? いいぞ? オレは。そっちの焦らしプレイでも。お前が、みんなに見てもらいたいならな」「わっ、ダーリンが怒った。嘘、嘘。冗談です。見せたくないです。ごめんなさい。あのね、子供が見つかってないんだ。殺された形跡もない。犯人に連れ去られていないならの話だけど、まだ生きてる可能性がある。昼間、あの家に行ったんだ。そしたら、気になる箇所があってさ。調べてみたらあの家は注文住宅だったんだよね。だから建築事務所で設計図を入手したんだけど。部屋がもうひとつあるらしいんだよねぇ。設計士の話じゃ核シェルターだか、緊急避難用のセーフルームだか、そういう隠し部屋があるんだって。もしかしたら、そこにいるかも知れないじゃん。それなら、早く救出しないとダメじゃん? だから行って来る。でももう初動の範囲はとうに超えちゃってるからさ、あいつは置いて行きたいんだ」「おい、チビ助、行く前に上司に指示を仰げ。危険だろう。チビ助、よく考えてみろ。犯人と鉢合わせたら、どうする。その隠し部屋にいるのが子供だけじゃなかったら? 危ねえーぞ」 室長の言葉に、どことなくちょっとおどけた様子だった彼女の表情が、がらりと変わった。冷淡な顔でフンッと鼻を鳴らした。「指示? フフフ……ンなの時間の無駄だよ。あのさ、室長からしたら、抱えてるヤマと部下の動向はちゃんと把握するよね? 多分、室長には、それが当然でしょ? でもさ、優秀な上司さまばっかじゃないんだよねー。機捜のあのお方はぁ……そーだねぇ、今の時間ならもう夢の中だよ。で、叩き起こして指示を仰いだとしてもね。言う事は決まってるよ。なんで言い切れるのかといえば、毎度毎度判で押したようにそれしか言わないからね。『こんな時間になんなんだい? えーそうなの? きみ、どうしたらいいと思う? きみ、現場に居るんだから私より分かるでしょう。きみ優秀なんだから、判断はきみに任せるよ。きみなら出来るでしょ。あ、くれぐれも問題だけは起こさないでくれよ? 私は、きみを信頼してるんだから期待を裏切らないように。ともかく問題さえ起こさないでくれるなら、きみの判断でかまわない。うまくやってくれたまえよ?』……フンッ。まあ、ばかのくせに口だけ出されるってパターンよりは、良いけどねー。それに、危ないかどうかなら、時間なんて関係ない。いつだって危ないさ。じゃなかったら、銃なんて持たされてないんじゃないの? ともかく、どう動くも、僕の裁量に任せられている、自由なの。大丈夫だよ。僕は優秀だからねぇ。それに、話してる内に頭がクリアになってさ、今、とっても冷静だ。バッチリさ。室長が忠告してくれたこと、ちゃんと考慮するよ。ありがとう。そういう万が一があるってこと、頭に入れて任務遂行する。……ってかやっぱり、もう行くよ。急がないとな、助けを待ってるかもしんないしな」 オレを見て、もう一度念を押すように言った。「昴、堀ちゃんを頼んだよ。あいつ、僕が言ってもいうこときかねえんだ。頑固でさ」
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