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しばらくして、彼女から電話があった。まだ丈一郎の店にいるかと聞かれ、いると答えると唐突に電話が切れた。首を傾げてると店に誰か来たようで丈一郎が見に行った。ダダダーッと走る音がして誰かがドアを開けたと思ったら、彼女だった。彼女は、そのまま一直線にオレに向かって飛び込んで来て『すぅ! おめでとう!』とダイブするみたいに抱きついた。びっくりするオレに、ニカッと笑う。「えへへっ。間に合ったぁー。この近くに出向いた帰りなの」「お帰り、なまえ。ありがとな」「んー残念だけど、おかえりじゃないんだ。まだ、仕事が残ってる。堀ちゃんが、気ぃ利かせて寄ってくれたの」「ええ? まだ仕事なの? ベイビーちゃん。もうかなりの時間よ?」「うーーん、気になる事があってぇ。来たばっかだけど、もう行かないと。堀ちゃんも車で待ってるし。あ、堀ちゃんって僕の相棒ね」「おチビちゃん、ご飯食べたの? きみ、もしかして貧血気味じゃない? 顔が青白いよ?」「あーそういえば、忘れてたぁ。堀ちゃんも、僕も食べてないや。思い出したら急激にお腹減って来た……」「姫、仕事に行くにしても、食べてけよ」「そうよ。アタシ、堀ちゃん呼んで来るわ。くまちゃん、ベイビーちゃん達のご飯、用意して」「はにゃー、なんか目がまわるぅー」「あっ、なまえ」 彼女から力が抜けて、倒れそうになる。よくよく聞いたら『朝も昼も、十秒チャージ一だ』とか言って今日一日ろくなもんを食べてないようだ。「ばか。ダメだろう? そんなもんじゃ、栄養はチャージ一されねーよ」「そんな言ったってぇ、すぅ。忙しいんだから、しょうがないじゃん」「しょうがなくありません。第一、お前が食べなきゃ相棒も食べられないだろう? 先輩のお前が、そういうとこ考えてやらないとな」「そっかぁ。だよなぁ、堀ちゃんに悪いことした。あとで、謝ろう」「ところで、チビ助。仕事って急ぎか?」「うん? まあねぇ……現場にさ、もう一回行ってみようかと思ってね」「えっ? 現場に? 今から? だって、おチビちゃん。あそこは、凄いありさまだよ?」「あー! 小野瀬さーん、ダメダメ! 改めて言わないでよぉ。意識すると怖いじゃん。僕だって行きたくて行くんじゃないのぉ。あー、その話は置いといて、お願いがあるんだ。すぅ。ちょっと頼まれてよ」「何を?」「うーん、先に良いよって了承して。大丈夫、簡単なことだから。ね?」「やだ。先にどういうお願いか言いなさい。返事はそれから」「えーケチ。結婚記念日なんだからぁ、愛妻のわがままくらいきいてよ。何でもどーんと受け止めて? ね?」「ダーメ。その言い方だとろくなことじゃないだろう? ちゃんと説明しなさい。隠し事はなし。約束だろう?」「じゃあさ、言ったら答えはYesだけね。Noはなし。いい? 絶対だよ。ちょっと堀ちゃんをここで引き止めといて。簡単でしょ? 頼んだよ。もうダメはきかないから」
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