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「今日のはなー、いい酒だぞ? 最初はワインとウイスキーどっちがいい? ワインはお前の生まれ年のワイン。ウイスキーだとおまけ付き」「おまけ? おまけってなんだ?」「知りたいか? じゃあ、ウイスキーな。こっちもお前用のとっておきだぞ? さあ、王様。味わって飲め」 丈一郎に渡されたロックグラスには、オレの名がデザインされて刻印してあった。ウイスキーのボトルを取り見てみるとそっちにもやっぱり刻印があった。彼女の顔が浮かんだ。「丈一郎、これ、なまえか?」「ああ、今年も来たんだ。可愛い魔法使いさんがな」「じゃあ、もしかして予約も彼女か?」 そう言ってボトルから視線を外し、みんなを見る。みんなが、微笑み頷いた。「ああ。チビ助だよ」「現場でさ、おチビちゃんに会うことがあるんだよ。彼女、機捜だからね。それで、昨日も会ってさ。『急だけど、誕生日に一人にしたくないから』ってお願いされてね。俺から穂積に伝えた」「チビ助からも、メールがあったけどな。今日来たのも『今日、お願いします』って頭下げに来たんだ」「俺も姫に頼まれた。可能ならお前の友達として、お祝いしてあげて欲しいって。本当は姫も一緒に祝いたかったんだろうな。頼みに来た時、残念そうだった。だから姫の代わりに──は、ならないだろうがな。今日は、俺も一緒に祝うよ。幸せな王様の誕生日をさ」 それを聞いて、胸の中に嬉しさが広がった。「感動したか?」 丈一郎の言葉に『ああ』と頷いた。「じゃあ、もっと感動させてやる。今年もあるぞ。ほら、姫からの愛情いっぱいのケーキだ」 生クリームの白いケーキに、チョコレートのメッセージとハートのチョコレートが二枚寄り添うように飾られてた。「え? あいつ、作ったの? いつ?」「昨日だ。仕事帰りに来て、一生懸命作ってた」*Happy Birthday, my darling! Your smile makes me happy. Glad that I have you in my life.(*ダーリン、誕生日おめでとう。あなたの笑顔は私を幸せにするよ。あなたが私の人生にいてくれて嬉しい ……みたいな意味) メッセージを読みながら昨夜帰りが遅かったのを、思い出してた。「あいつ……忙しいのに……」 グッと来て、顔があげられなくなった。「やっぱり忙しいのか……『なんだか手抜きみたいなデコレーションになっちゃって、誕生日には地味かな』ってしきりに気にしてた。だから『王様がもし文句言ったら、くまさんがお尻ペンペンしとくから安心しろ』って言っといた。ペンペンするか?」「しなくていい。文句なんて、あるワケねーよ。すごく気に入った。嬉しい……」「そっか。じゃあ、後で姫にそう言って安心させてやれ。王様のスマイルつきでな。そしたら、姫も幸せになれる」「ああ。そうする……」「王様、胸いっぱいで泣きそうなら、泣いてもいいぞ。誕生日サービスで、姫には内緒にしておいてやる」「……うっせーな。からかうな。ちくしょう……こんなにされりゃあ、感動するだろうが……悪いか……ズッ……」「悪くない。そんなお前で良かったよ。さすが、俺の友達だ。これで、無感動とかだったらお尻ペンペンしてるとこだ。よう、親友。今日もお前の為に腕によりをかけて作ったんだ。旨いぞ。腹いっぱい食え」 彼女に、ありがとうとメールを入れたら電話が来た。車で移動中らしく短い会話しか出来なかったが『今夜も帰れるか分からなくて。一緒にいられないけど、楽しんでね』と言ってた。 それから、男同士で散々飲み食いして、話して笑った。途中で源次郎から電話があり丈一郎の店にいると言うと、タクシーをふっ飛ばしてやって来た。更に、賑やかな楽しい時間になった。
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