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[はい──了解しました。すぐ行きます] 携帯を切ると『呼び出しだ。行かなきゃ』と言って残ってたスープをごくごくと急ぎ飲む。「誰か来られなくなったのか?」「うん。山本さんが。急きょ交代だ。行ってみないとくわしくは分かんないけど。今からだから……明日の休み、なくなった。去年も出来なかったのに」 彼女の声はだんだん小さくなった。最後にはいよいよ元気なくなりポツリとした声でそこまで言い終えると、シュンとした今にも泣きそうな顔になった。「気にするな。仕事じゃ仕方ない。誕生日も、記念日も、この先いくらでもある。それに、オレもお前の誕生日に何も出来ないことが何度もあった。お互い様だ。お祝いが出来なくても、オレ達の愛情に影響はないさ。だろ?」「……うん。僕、今もすぅを愛してる。この先も変わらない。約束出来るよ」「オレもだ。お祝いよりも、それが大事。何度でも言うけど、ハニー、ちゃんとオレのもとに戻って来るんだぞ。約束……」 約束のキスをして、車で彼女を送って行った。こんな遅い時間にバイクを飛ばして行くんじゃ心配だ。それに、送ればもう少し一緒に居れる。明らかに意気消沈してる彼女を慰め、励ます。庁内に消えてく彼女の背を目で追ってると、彼女の相棒が出て来た。オレに気づき頭を下げる。降りて行って挨拶をかわす。「旦那さん、こんばんは。いつも差し入れありがとうございます。なんか俺まですみません」「いや、たいしたもんじゃない。気にするな。お前も呼び出しか?」「ええ。でも先輩、明日久しぶりの休みだったんですよねぇ……」 相棒が、肩を落としため息をつく。「がっかりしてるでしょうねぇ。すごく楽しみにしてたのに」 前になにげなく、今度の相棒はどんなヤツかと聞いてみたら『今度のはねぇ。ひょろひょろでっかい図体してるんだけどぉ。でも、中身は心根の優しい、いい奴だ。成長中でまだちょっと頼りないけども……憎めない、そんなかんじ。弟みたいなかな』となまえが言ってた。実際、会ってみるとそういうヤツだった。「まあ、仕事じゃ仕方ねえ。オレは、あいつが無事に戻ってくりゃあいいよ。お前も気を付けてな。大変だけど、頑張れよ。あいつのこと、頼むぞ」「はい」 そこで、彼女が戻って来てオレに手を振って覆面パトカーに乗り込むと、街にむかい消えて行った。
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