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「いってらっしゃい。ん? どうした?」「ん……もっと一緒にいたい……」 ぎゅっとオレに抱きつく彼女。無理もない。過酷な状況で気を張り詰めて忙しく働いているのに心と身体を休める間がない。最近プライベートの時間は取れてない。「だな。今度休みが取れたらずーっと一緒にいよう。それまで頑張れ、な?」「……うん。すぅ、もう一回……」 キスのおねだりにこたえて、励ましながら笑顔で送り出した。これで夜まで会えない。彼女じゃないが、オレもやっぱり寂しいし一緒に居たい。それでも、頭を切り替える。次の休みを楽しみにしよう。耐えた分だけ、甘い時が過ごせるかも知れない。プラス思考だ。そう思いつつ、身支度をして家を出た。 ● ○ ● ○ その夜、いつもより遅く彼女が帰宅した。自分で鍵を開けそっと入って来るのを寝室を出て、出迎えに行った。彼女はキッチンで手を洗い、冷蔵庫をのぞき込んでたところだった。『おかえり』と声を掛けると、ビクッと飛び上がった。その驚きようがおかしくて笑ってしまう。「あっ、ただいま……」 笑うオレに頬を赤らめて『ごめん、起こした?』と聞く。『いいや……』笑いながら答えると、彼女が『もー!』と膨れながらこちらに来て『笑い過ぎだ』とぽすんとした軽いパンチをしてくる。それを手で受け止め、掴んだ手を引っ張り抱きしめる。「ごめん、なんか小動物がびくつくみたいで可愛いかったんだけど、かなり驚いてたから、ちょっとおもしろくて」 言う内、彼女が胸にすりすりした。甘える彼女が可愛い。もう一度『お帰り』と言ってキスをする。そのまま、しばしベタベタして寂しさを癒す。「すぅ、僕……お腹空いた」 彼女がシャワーを浴びてる内にご飯の支度をする。淡いコーラルピンクのふわふわしたバスローブで彼女が出て来る。「いいタイミング。さあ、召し上がれ」「ありがと。いただきまーす」 すごい勢いでモグモグとひたすら食べてる彼女。「あ? そんなにお腹すいてたのか? もっとゆっくり食べないと、喉詰まるぞ。髪、まだ濡れてるな」「うーんー。食べたら、拭くぅ。食べんの先ー」 一瞬、食べるのを止め、言う彼女。見ればケチャップが口元に付いている。笑いながらおしぼりで拭いてやる。それから、髪に触れると結構濡れてたので、後ろに行って頭を拭いてやった。「ありがと。ねぇ、明日覚えてる?」「ふふ。覚えてる。結婚記念日だ」 『へへ……』と顔をほころばす彼女。「それと、ダーリンのお誕生日ぃー。うふふ、明日楽しみー。いーっぱいイチャイチャしようねぇ。ダーリン」 嬉しそうな彼女。久しぶりに見たその笑顔が愛おしい。まだ食事中なのは分かりつつ、気持ちが抑えきれずに彼女に口づける。止まらずに、首筋に唇を這わし、胸に触れる。思えばこんな風な甘い時間も久しぶりだ。「……っん、ダーリン、まだ途中……」「ハニーが可愛過ぎるからいけない」 もう一度、キスをした時、彼女の仕事用の携帯が鳴る。彼女はその音を拒否するように無視すると、よりいっそうオレの首に絡みつきキスを続けた。だが……着信音は鳴りやみそうにない。コールが続いた後、一旦切れてまた鳴り出す。再度鳴り出した着信音に諦めたように唇を放す彼女。その顔が途端に曇っていく。ため息をつくと『悪い』と短く言って電話に出た。どうやら、上司かららしい。
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