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──機捜の彼女。── 一年間の王子護衛プロジェクトも無事完了し、彼女は捜査室から異動になった。異動してもうそろそろ二年が経つ。異動したのはよりにもよって警視庁機動捜査隊。通称、機捜(きそう)は初動捜査を担当する。事件発生後、現場に真っ先に急行するため、凶器を持った容疑者等と遭遇する可能性が高く拳銃の常時携帯を義務付けられている。二十四時間の三交代勤務で徹夜もある。なまえも早朝出勤し、深夜くなることもめずらしくない。危険性が高い上に、結構な激務だ。一緒に組んでいる相棒は彼女より年下の巡査。つまり、経験も浅い相棒の教育係の役目もあるワケで、家に帰って来た彼女はくたくただ。ご飯の途中で寝てしまう事や、風呂好きの彼女が風呂も入らず眠ってしまう事も多々ある。そんな状態なのに、オレにすまながる。家のこと、色々おろそかになっててごめんなさい。そう気に病みながら電池切れを起こすみたいに、眠りに落ちる。泥のように眠る寝顔を見ながら思う。(家のことなんか気にするなと言う間もなかったな。それ程、疲れ切ってるんだよな。はぁ……もっと楽させてやりたいんだけどな。なまえが無事ならオレはそれだけでいい) 本当に今願うのはそれだけ。彼女が夜番でいない夜は[今頃覆面パトカーで街を流しながらパトロール中だろうか? 凶悪事件、起こるなよ。彼女が無事に帰って来ますように]と空いた隣のスペースを見ながら祈る。本音を言えば気が気じゃない。だけど、本人が一番しんどいのに頑張っている。オレも彼女を見習うことにする。色々言わない。今、出来ることをする。見守って、彼女が疲れた時に休める場所でいようと思う。 早朝、彼女を起こす。眠そうでかわいそうだが、仕方ない。身支度をしながら、リビングにやって来る彼女に声を掛ける。「おはよう、ハニー。さあ、朝ごはん食べようか?」「おはよう。今朝も起きられなくて……ごめんね」「うん? かまわねえよ。オレが、好きでやってんの。知ってるだろう? オレはお前の世話を焼くの楽しいんだ。やらせとけ。それに、ごめんよりありがとうと、愛してるの方がいいんだけど?」「ふふっ、ありがと……愛してるよ」 頬と唇にキスをくれる。「オレも愛してる。家のことは任せろ。前も言ったけど、オレはそんなのどうでもいい。オレの望みは一つ。仕事が終わったらオレのもとに戻って来い。それでな……帰って来たらご褒美に、お前の笑顔とキスをくれ。分かった?」『うん。分かった』と微笑む彼女に『さあ、食べよう』と促し食べ始める。二人で食卓に向かい合うこの時は、いまや二人で過ごす貴重な時間だ。それは短くても、オレに幸せと元気をくれる。彼女にとってもそうであって欲しい。なので、料理にはいつも以上に腕によりをかけて作っている。美味しいと彼女の顔がほころぶくらいうまいものをと心掛けてる。(現時点で、オレに出来るのはそんなことくらいだからな……)などと考えていると『美味しい』と彼女の声がする。見れば幸せそうな顔が目に入る。自然とオレも笑顔になる。そんな楽しく幸せなひとときを過ごし、朝食を終え歯磨きをすると彼女は出る時間。楽しい時間は過ぎるのが早い。ひとり、胸の内で呟きながら玄関で見送る。「行って来るね。すぅも気を付けて……いってきます」 彼女が伸びをして、いってきますのちゅうをする。 いってらっしゃいとかけたオレの言葉に、彼女はうんと言いうつむいた。そして、そのまま抱きついてくる。
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