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「さっきの店? きみ達が、ナンパされまくる前かな?」「そうよ、アオちゃん。ナンパねぇ。あれは困ったわ。 ベイビーちゃんってば、さみしそうで、物憂けで。それが妙に色っぽい雰囲気醸してちゃってねぇ。あれは、魅力的だったもの。殿方が寄って来るのも無理無いわね。アタシ一人ならそんな殿方、適当にあしらえるけど。さっきのベイビーちゃん、いつものしっかり者の彼女じゃなくてあんまり余裕ないってかんじに見えてね。昴ちゃんも丁度いなかったし、危ないじゃないのさ。ここはアタシが守らなくちゃって思ってくっついてたの。憂い顔の原因も、聞いてみたのよ。だけどね『ありがとう。でも僕、元気だから大丈夫』って。もうちょい聞こうとしたらナンパに邪魔されて失敗」「あー、あの時な。室長に呼ばれて、ついでに彼女のお代り取りに行ったんだ。助かったよ。ありがとう」「ま、それはいいんだけど。気になるのよねぇ。あのさみしそうな顔。昴ちゃん達はベイビーちゃんの憂いの原因、ご存知なの?」「うーん。それは多分……アレだろうねぇ。ねぇ、昴くん」 頷くと源次郎が『何だ、何だ』と聞きたがる。小野瀬さんが答えた。 「特別任務で一年延びたけど。さすがに今年は、おチビちゃんも異動になるだろうからね。やっぱり、不安だし寂しいんじゃないかなぁ」「異動……」 源次郎が考えるように呟く。「オレ達に異動は、つきものだからなー。それはなまえも、よく分かってると思うんだ。あいつにしたって、今回がはじめての異動じゃねーしな。あいつ、言ってたんだ。『捜査室は、良過ぎた。みんな、最高過ぎ』ってさ」「アダルトチルドレンって環境の変化が特に、苦手らしいよ。過剰なほどに苦痛に感じるって聞くからねぇ。今の話からすると、やっぱりツラいんだろう。おチビちゃんの事だ。一生懸命、こらえてはいるだろうけどね」「ですね」「俺も、昴くんも、おそらく穂積お父さんも、みんなも、気にはなってるんだけど。 こればかりは、どうにも出来ない。見守るしかない」「そうなのねぇ……」 源次郎がため息をつく。「ふっ、源次郎。ありがとうな。なまえはきっと大丈夫だよ。あいつには最高の味方がついてるからな。オレや、お前、泪お父さんに、小野瀬お母さん、あいつらとかな。だろう?」「そうね。昴ちゃん。アタシも応援する。何出来るか分からないけどさ、ベイビーちゃん大好きだもの」「ああ、頼むな。源次郎」「さて、我らが姫がお待ちかねだよ。昴くん達がいないとさみしいらしいからね。早く行こう」「そうね、アオちゃん。行きましょう、二人とも」 そう言うと、源次郎はさっそく『ベイビーちゃーん』と手を振りながらいそいそと歩き出す。オレと小野瀬さんは源次郎らしいその様子に、顔を見合わせて微かに笑うと後に続いた。 きっと、ここにいるみんなが思ってる。彼女の笑顔が消えないようにと。そして、同時に彼女なら乗り越えてくれると信じてる筈だ。(頑張れ、なまえ。お前はひとりじゃない。何も無くさないよ) 彼女へと歩きながらオレは、そう心の中で話し掛けてた ──。──本編35。 チャイナナイト。──End.36。ヘ続く。
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