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● ○ ● ○ もっと飲みたいと駄々をこねる約二名──酒好きお父さんと娘──にねだられて二次会に繰り出すことになった。最初、近場のBARへ寄った。だが、酔って来たのかちょっとずつ色気をまとい魅力的な雰囲気を醸し始めた彼女と、喋らなければ見た目はいい女に見える源次郎が、ちょいちょいナンパされるので、危なくて落ち着けない。みんなも危ないと感じたようで、タクシーでマスターの店に移動することにした。 ● ○ ● ○ 三件目でもう夜も遅めの時間だった。オレ達と入れ違いに、店にいた客は帰って行った。貸切同然の馴染みの店で、彼女は水を得た魚のようにますますはじけ出した。『んー、踊りたーい』と言い出しマスターに許可をもらい、オレの方に来るととびきり甘えた声で言う。「ねえ、すぅ。なんか踊れそうなの弾いて? お・ね・がーい。ね? いいでしょう?」 上目使いでそんな風にねだられちゃ、弾かないワケにいかねー。ピアノに合わせ楽しそうにステップを踏み踊りだした。その内に源次郎や室長、小野瀬さん、うちの連中、果ては石神達まで次々と引っ張って来た。最初は踊ったことない。無理だのと言ってた奴らも『ふふ、じゃあ真似してみて。そうそう、上手いじゃん。難しく考えないでさ楽しめばいいんだよ』という具合に巻き込んでいった。楽しそうに舞う彼女の影響か、気がつけばみんな楽しそうに踊っている。もうBARというより、どこぞのCLUBのみたいだ。「昴くん、代わるよ。きみも踊っておいで」 小野瀬さんと交代し、彼女の傍でリズムをとる。「あーダーリン。一緒に踊ろう。うふふふ」 彼女はかなりご機嫌だ。それもそのはず。踊りながら酒もしっかり飲んでて、もうガンガンいっちゃってる。最初に深飲みしないとオレと約束したのも、もはや忘れているようだ。一瞬、叱ろうかとも思った。けど、すごく幸せそうで楽しげな彼女を見ると、それも躊躇われた。それどころか、そんな彼女にオレまで楽しく幸せを感じ始めた。とどのつまり、オレも惚れた女のキラキラ笑顔には弱いのだ。「なまえ」「うん? なぁに? すぅ」「楽しいな」「うんっ! すっごく楽しくて幸せー! うふふふ。すぅも、幸せ?」「幸せだ。すっごく、な」「よかった」「なぁ、またおめかししていろんなとこ、沢山行こうな」「うん、僕といっぱいデートしてね」「ああ、よろこんで」 そう答えたら嬉しそうに『ありがと。ダーリン、優しくって大好き』と微笑んだ。あんまり彼女が眩しい笑顔だったので、思わずかがんでちゅっと口づけた。 酒は強い方でも、飲ませ上手な彼女に付き合って今夜はもうだいぶ飲んだ。そのうえ、こうして動いている。さすがにオレも多少酔ってるらしい。(プライベートタイムだし、こんなに可愛い顔で嬉しいこと言われちゃ、この程度は仕方ねえだろ) ついつい自制も甘くなり自分の欲求に素直になってしまって、どうにも抑えきれない。 (後で怒られるかもなー)[人前でしちゃダメって言ってるでしょー! もー! ] とちょっと赤い顔で怒る彼女が頭に思い浮かぶ。 (まぁ、怒る顔も可愛くて好きだから、それもいいけど。問題はそこじゃねーよな。彼女はいい。けど、他にもうるさいのもいるしなあ) と、案の定。アニや如月の騒ぐ声が後方で聞こえた。(うーん。なまえが聞いたら怒り出しそうなことを、考えてるよなぁ、オレ。不謹慎かなあ、やっぱり。事実、そうなんだけど、ブラックなまえちゃんにまで行くとなー。かまってくれなくなるかも知れねー。キスはしていたい……が、それは避けたい。怒られるのも、又良し。そう思ってんのは、オレだけの秘密にしよ。しかし、うっせーやつらだなー。だいたい、自分の恋女房にキスして何が悪い。別に浮気してるワケじゃねーしな) とにかく、今は幸せだから邪魔されたくない。彼女以外の外野はこの際、シカトすることにした。
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