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「変なのー。そんなのに、男も女もないんじゃん? それに、知ってる? 猫舌ってさ、子供の頃に熱いの食べる習慣がないとなるらしいよ。だからさ僕みたいに放置されたか、あるいは反対にとっても大事にされて育ったことによる結果なんだってさ。そういう話を、聞いたことあるの。普通に考えたら大事にされて、って可能性のが高いだろ? っていうことは後藤さんは、愛されて育ったって証明じゃん。それって良いことじゃん。より一層、親孝行しないとな。ん? すぅってば、そんな顔して。……うふふ。おバカさんだな。僕は大丈夫。あのねぇ。僕はその分今、大事にされてるからさ。それで良いんだよぉ。ふふ。っていうことで、熱いでちゅーぅ。ふぅーふぅーして下さーいー。昴お父しゃん」 最後の方は甘えたようになり、そう言って小籠包の入った小さなせいろをオレによこした。クスッと笑い返し、頭をポンポンした。「はいはい。ふぅーふぅーしてやろうな。そうだな。なまえちゃんはこれからうーんと、昴お父さんが甘やかしてやるよ。いっぱい、甘えていいぞ」 小籠包を冷ましながら言うと、彼女がにこーっと笑う。嬉しそうな、幸せそうな顔にオレもまた笑顔になる。「ほーら、冷めたぞ。お口、あーん。どうだ? 旨い?」 口に入れてもぐもぐしてる彼女に聞くと、頬を押さえ美味しいと目を輝かせた。すると、室長がブーイング。「なーんで昴がお父さんなのよ。お父さんは私でしょう? アンタは亭主でしょうが。全部ひとり占めする気? ずるいわよ、昴」「ん? ふふふ。やだな。何ヤキモチ妬いてんの、お父さん。そんなことより、これすごい美味しかったよ。お父さんも、食べて、食べて。あ、まだ熱いかな……。じゃあ、お父さんには僕が愛情を込めてふぅーふぅーしてあげよう」 室長のを、オレがしたのと同じように冷ましあーんと口に入れた。途端に、機嫌良さげになりもぐもぐしてる室長。「うん。北京ダックも旨かったけど、これも旨いな」「でしょう。ふふふ」 にこにこ頷き合うふたりに、小野瀬さんが笑い出す。「穂積、お前って分かり易いねえ」「うるせえ、お前も食ってみろ」 黙らせたいとでも言うように、室長が小野瀬さん口の中に小籠包を突っ込んだ。「熱っ!」 出た時よりは多少冷めてはいるだろうが、それでも冷ましもせずに突然放り込まれたらたまったもんじゃない。口を押さえバタつく小野瀬さんに彼女が焦り水を渡す。ゲラゲラ笑ってる室長。『あーあ、笑ってる場合じゃないですよ。室長。ヤバいって……』とうちの連中が室長を止める。その後、やっぱり思った通りに彼女に怒られ室長が神妙に謝るパターンになった。日頃を知るオレ達は予想のつく光景だが、他の連中──アニ、源次郎、公安三人組は呆気に取られてた。「ふふふ。すごいですね。お祭りチームの上を行く──くっくく、あははは……」 呆けた後で、なんかがツボに入ったのか石神が大笑いし始めた。そして、彼女も見てる内に石神につられたらしく、一緒に笑い出した。笑いは伝染するらしい。本当におかしそうに笑う二人に、みんなもつられて笑い出す始末。後藤まで笑ってた。石神なんか、いつもそらにサイボーグ呼ばわりされる冷静沈着なこいつらしくなく、笑いが止まらないようだ。こいつらをこんな風に笑わせちまうんだから、うちの連中はすげーなと改めて思う。まあ、楽しいんだからいいことだ。そんな風に終始楽しく食事会は過ぎて行った。
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